ネット炎上事案について考える-プロシード社の事例

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ネット炎上事案について考える-プロシード社の事例今回は神奈川県のソフトウェア会社 プロシード社で実際に起きた「ネット炎上」の事案について考えてみたいと思います。

会社がネット炎上にさらされるのは大きく2つの場合があります。
一つは社員が不法行為や一般常識から逸脱する行為を行った場合、もう一つは「ブラック企業」とネットユーザーが認定するような行為を企業側が引き起こした場合です。

前者は店員が冷蔵庫に入った画像をSNSにアップした件や、過去記事:“炎上”時の対応について考える-エフセキュア社の事例 などが該当しますし、後者はワタミ社で起きた元社員の過労自殺認定に関連する炎上が代表例です。

前者の場合は、根本的には当該社員・店員個人の問題ですので、問題の究明や当該社員・店員を解雇するなど毅然とした対応を取ることで会社としての使用者責任を回避し「会社自体の炎上」を避けることができます。

問題なのは、後者の「ブラック企業」とネットユーザーが認定するような行為を企業側が引き起こした場合です。

そのことを踏まえて、今回の神奈川県のソフトウェア会社 プロシード社で起きた事案を見てみましょう。

ネット炎上のきっかけとなったのは次のニュース ~ 精神疾患で退職「詐病だから慰謝料1200万円払え」は不当 男性が反訴 横浜地裁に ~ になります。
ニュースによると、パワーハラスメント(パワハラ)による精神疾患で退職した元社員に対して、プロシード社側から元社員に慰謝料を請求、このことで再就職先から退職を余儀なくされた元社員から逆にプロシード社を反訴した事案のようです。

事実は裁判を通じて明らかにされると思いますが、今回のプロシード社の事案は『真実がどうだったか』や『どちらが正しいか』はネット炎上の視点からは大きな問題ではありません。会社側が敗訴した場合はもちろん、勝訴したとしても、今現在拡散している「ネット炎上」の情報は痕跡として Google や Yahoo! などのネット検索のデータベースに蓄積し、数か月後も数年後も検索結果に“ブラック企業”として表示され、会社としての信頼を損ね続けることはるかに大きな問題だと思います。

せっかく育てた社員が会社を辞めることは会社にとって確かに損失です。会社側には言いたいことも恨みつらみもあるでしょう。しかし、その損害を元社員に訴訟で求めた結果、本事案のプロシード社のように大手ニュースサイトに取り上げられ、2ちゃんねるなどの掲示板やSNSで拡散される損害も経営者としては考えておく必要があります。

「ブラック企業」とネットユーザーが認定するような行為により引き起こされるネット炎上には模範的な対処方法はありません。それだけにネット炎上を引き起こさないことが最大の防御方法になります。

例えば今回のような事案であれば、社員が会社を辞めることは自社に魅力がなくなったからかもと考え、「去る人は追わず」で自らを省みることも会社経営の判断としては重要なことではないでしょうか。