プロは無料の仕事を受けるべきか?

経営豆知識

プロは無料の仕事を受けるべきか?プロは無料の仕事を受けるべきか?
個人事務所を営むある士業の先生から、こんな相談を受けました。

今回は、この質問について考えてみることにします。

まず、ご自身が必要な時給単価がいくらか計算してみましょう。

個人事務所を経営されている方はかなり働いている場合が多いので、
1ヶ月に働く時間としては、1日10時間×25日=250時間 が目安かなと思います。

ちなみに月250時間働くということは、厚生労働省の「過労死」認定ラインと紙一重だったりするわけで、経営者の立場であっても、中長期的には守っておきたい労働時間だと思います。

一方、事務所経営として考えると、事務所として稼がないといけない金額もあります。

もし、稼ぐ必要のある金額が月50万円だとすると、時給換算で2,000円、月100万円なら時給4,000円ということになります。

「本来なら仕事をした時間×事務所運営に必要な時給」以上の金額をいただかなければ、早晩、事務所運営は立ち行かなくなるわけです。

無料の仕事を受けるということは、さらに自分の労働時間を増やすか、他のクライアントから通常よりも多くいただくしかありません。
その結果、無料の仕事を受けている、もしくは相場よりも安く仕事を受けている場合、深夜まで働いてカバーしている士業の方が多いように思います。

厚生労働省の「過労死」認定ラインを完全に超えている士業の方も見かけますが、士業の個人事務所においては、自身の健康管理は非常に重要です。さらに、ギュウギュウに仕事を詰め込んでしまっては、新たな仕事を入れる隙間もなく新規案件を獲得するチャンスを逸してしまいます。そして、新規案件獲得を逃し続けると、その内、新規案件は舞い込まなくなってしまう悪いスパイラルに落ち込んでいきます。

仕事を発注する側から見ると、「常に忙しくしている人」は重宝されませんが、「いつでも断らず仕事を受けてくれる人」は重宝されます。
つまり、ギュウギュウに仕事を詰め込んでしまうのではなく、余力を持って仕事をしていることで、新たなチャンスをモノにすることができるわけです。

仕事がない状態なら、実績作りの為に無料で単発の仕事を請け負うことはあり得ますが、プロとして長期間やっていくのであれば、「無料の仕事」をするべきではないでしょう。