リストリクテッド・ストックとは?

経営に役立つ用語

リストリクテッド・ストックとは?リストリクテッド・ストックとは、Restricted stockが原語ですが、日本語訳すると、自分の企業の株式を役員などに直接付与する「株式による報酬制度」という意味になります。

一定の期間について株式譲渡制限を設定することから、役員などに中長期にわたる企業の業績向上に向かってのインセンティブを与えるものと位置づけられれていて、「特定譲渡制限付き株式」という言われ方もします。

条件を付ける場合は、5か年計画で掲げた数値を達成すれば譲渡も可能というような内容により、役員自体のリテンション効果(離職や転職などを防ぎ、また新たな役員の確保が容易になるというもの)もあり、さらに株主目線からの経営参画も期待できると言われています。

日本の企業では、役員報酬は役員賞与があるものの固定的な要素が中心で、欧米に比べると業績連動のパーセンテージや株主としての報酬の割合も低いため、問題とされていました。政府としてもこの問題に取り組み、2015年から適用されている上場企業の統治方針であるコーポレートガバナンス・コードでも後押しし、役員などへ自社株による報酬制に向けた動きが活発になってきています。

労働基準法では給与の支払いは通貨払いの原則があり、一般社員に対しては自社株式を付与することができないため、持株会などの方法で株式取得を奨励してきていましたが、役員などには金銭でない報酬も認められていました。しかし、会社法の制約があって株式を無償発行することや自社の株式を直接付与することはできませんでした。

そのため、ストックオプションという方法が一般的なものとして普及したのですが、この場合の株式はいつでも株が上昇したときに売却できるということから、様々な弊害もあって問題視されていたのです。

その点、リストリクテッド・ストックは、一定期間の譲渡制限がついているので、長期保有ということも図れることもあり、目先の売り買いに一喜一憂せず、株主サイドに立って、中長期的に本腰を入れた経営を行うことができることから、注目されたというわけです。

2016年の4月には、経済産業省からリストリクテッド・ストック導入の手引きが公表され、一層拍車がかかることになりました。

リストリクテッド・ストックは、まだまだ、様々な点で整備が必要な制度ではありますが、大きな方向性は示されているため、制限の取り払いやや条件整備は、規制緩和という視点も加速されて進められていく状況にあります。