「同一労働同一賃金」法制化の影響

経営豆知識

「同一労働同一賃金」法制化の影響

「同一労働同一賃金」法制化の影響

同一労働同一賃金とは、その名の通り、同じ量、同じ質の労働に対しては同じ額の賃金を払うべきとする仕組みです。

仕事内容は同じなの他の人とはなぜ給料が違うのか、という不満などが無くなる効果も期待できるもので、実際にイギリスでは19世紀末には男女同一賃金の要求と言うのが労働組合で取り上げられ、既に協定化されています。

といっても、日本の場合は、まだ労働者の年齢、性別、さらに雇用形態などによっても同じ仕事内容であるにもかかわらず、同じ賃金にはなっていないのが現状です。

同一労働同一賃金が法制化、つまり、同じ量、同じ質の労働に対しては同じ額の賃金を払うことが法律によって定められた場合、実際には賃金格差が生まれる事が無くなるメリットがあります。その為、非正規労働者の賃金を底上げする事が出来る事になります。

では、「同一労働同一賃金」法制化は企業経営や社員にどのような影響をもたらすのでしょうか。

現時点で考えられるのは、賃金制度に関しての透明性が高くなる 効果です。

現在、社員個々人の賃金の支給基準に関しては不透明な所も多く、特に中小零細企業においては社長の胸三寸となっているところも決して珍しくありません。その結果、性別や年齢などにより正当な評価がされない人とそうでない人との間に不透明な “差別” が存在しています。
そういった不透明さが無くなる事によって、より男女、さらに年齢などの差が出にくくなると言う効果は期待できます。

とはいっても、仕事をしている人が全て同じ状況に置かれていると言う事ではありません。長く働いている人もいれば、働き始めたばかりという人もいます。資格を持っている人もいればそうではない人も存在しており、その仕事内容が同じであっても賃金を100%同じにするというのは無理なのかもしれません。

その観点では、同一労働同一賃金が法制化したとしても、実際には格差が残る可能性は十分あります。
ただその場合、どうして格差が生まれてしまうのか、その合理的な理由を明示する必要が出てくるので、結果的には今よりもより賃金制度を分かりやすくして明示しておく必要がありそうです。

また、正社員と派遣などの非正規社員の給料が似た様な物になると言う事は、人々の雇用形態に対する考え方も次第に変わってくるということも考慮しておいた方が良いでしょう。非正規社員の賃金が上がることで、当初は非正規社員のモチベーションが上がる効果もありそうですが、同一労働同一賃金が定着するにつれて、同一労働であっても同一の役割とは限らない正社員のモチベーション低下・仕事に対する価値観の変化を引き起こす可能性も考えられます。

このように同一労働同一賃金の法制化によって、ただ単に非正規労働者の給料の底上げがされるだけでなく、それ以外にも様々な影響を与えそうです。

「同一労働同一賃金の法制化」は経営者としても注視していくべきだと思います。

 

なぜ「同一労働同一賃金の法制化」なのか・・・

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