智者の一失愚者の一得

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智者の一失愚者の一得

智者の一失愚者の一得(ちしゃのいっしつぐしゃのいっとく)

古来より、人は自らの教訓を言葉で残し、古人の知恵や経験を「故事成語・ことわざ」として現代に伝えてきました。

その中から、時を超えて、人生に様々な示唆を与えてくれる「故事成語・ことわざ」を独断と偏見で選んでみました。きっとビジネスだけでなく、人生においても参考になるでしょう。

今回選んだのは、

「智者の一失愚者の一得(ちしゃのいっしつぐしゃのいっとく)」

という中国の古書「史記」が出典の故事成語です。

「智者の一失愚者の一得(ちしゃのいっしつぐしゃのいっとく)」とは

「智者の一失愚者の一得」とは、
どんな賢者であっても、多くの考えの中には一つくらい誤りがある。愚者も時にはいい考えを出すことがある。」という意味で使われます。

「智者の一失愚者の一得」は、「背水の陣」の言葉でも有名な「井陘の戦い(せいけいのたたかい)」で勝った韓信が、敗れた兵法家 広武君に対して「智者も千慮に必ず一失有り、愚者も千慮に必ず一得有り」と言ったことにちなんでいます。

ちなみに「智者も千慮に必ず一失有り、愚者も千慮に必ず一得有り」を現代文に訳すなら、

賢者も千に一つは失敗することがあります。そして、愚者も千に一つは成功することがあります。

といった感じでしょうか。

「智者の一失愚者の一得」と言えば、どんなに優れた人であっても、必ず失敗するものです。その意味では、失敗しない前提で動くのではなく、失敗してもその失敗をカバーできる体制や仕組みを作って置くことが重要です。

例えば「フェイルセーフ」という言葉があります。「フェイルセーフ」とは、機器やシステムで誤操作・誤動作による障害が発生した場合、常に安全となるように制御する設計のことですが、この「フェイルセーフ」機能も、機器やシステムは必ず故障するものだという前提から作られています。

物事には100%とか、確実ということはありません。信頼できる人や機器であっても、万一の時を考えたバックアップ体制を用意しておくことは、特に中小企業で求められることと言えるでしょう。

 

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