花井卓蔵|偉人列伝

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花井卓蔵|偉人列伝

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他の花井卓蔵のエピソードとしては、正義感にあふれたものが多く、台湾の法廷で一審で有罪判決を受けた案件を無罪にしたというものがあります。その事件は、起訴自体が半ば言いがかりのようなものだったのですが、わざわざ台湾まで行って無罪にするなど、日本以外でも活躍していました。

今では当たり前になりつつある模型を使った事故の再現なども花井卓蔵はこの当時から行っています。花井卓蔵は人力車をこの当時は使っており、事務所に住まわせている青年にひかせていました。ある日、信号より早めに出たことを交通違反だと警察官に咎められ、警察官にその青年が殴られてしまいました。しかし、信号を守ったとして花井卓蔵とその青年が主張すると、警察官側は嘘を主張しましたが、最終的には非を認め、詫び状をその青年に書くことになったのです。

こうしたエピソードの数々を見て分かるように、花井卓蔵は弁護士としての職務を全うし、その精神性の高さを誇示し続け、特に貧しい人、弱い立場の人を守る活動というものを幅広く行っていきました。

その一方で、アンダーグラウンドに属していた人たちとも交流があり、様々な方面での付き合いもある人でした。当時の弁護士は国立大学出身者が多く、史上初の私立大学出身者初の法学博士となり、在野の立場から活動を続ける花井卓蔵に期待していた人が多かったということでしょう。

最近の弁護士は昔と比べ、地位は向上し、収入面でもある程度不自由のない生活を送ることができる一方、花井卓蔵が示してきた矜持、精神性を維持するには到底及ばず、権力とも近くなり、反権力であることへの疑問が平然と述べられる時代となっています。

そんな現代だからこそ、弁護士の成り立ち上絶対に欠かすことのできない花井卓蔵の言動が、今の人たちにも響くのかもしれません。