退職社員から残業代請求されない為に経営者が気を付けること

経営豆知識

退職社員から残業代請求されない為に経営者が気を付けることブラック企業の問題がニュースなどで頻繁に取り上げられるようになっています。

ブラック企業であるどうかはともかくとして、未払いの残業代がある場合、退職社員などから残業代請求をされる可能性があります。

「なぜ在職中はなにも文句を言わずに働いていたのに、退職してから急に問題にするのか」という疑問を持つ人も多いかもしれませんが、労働審判や裁判になった場合、高い確率で負けてしまいます。最悪の場合、未払いの残業代に遅延利息をつけて支払わなければならない場合もあるのです。また、退職社員が残業代請求をする場合、パワハラ、セクハラ、過労などによる損害賠償請求も合わせて争ってくることが多く、1人あたり1000万円を超える請求をしてくることもザラにあります。

なぜ、そんなことになるのでしょうか?
経営者と労働者では、労働者のほうが弱者にあたり、弱者である労働者を守るためにあるのが労働法です。サービス残業をさせていて、「労働者が同意していた」と主張しても、それが認められることは原則としてありません。残業代請求の時効は2年ですので、例えば、2年分の残業代が1人あたり200万円になったとしましょう。200万円くらいなら問題ないと思ったら、それは大きな間違いです。残業代の未払いが問題になった場合、労働基準監督署から調査が入る可能性があります。調査の結果、残業代の未払いの実態があらわになると、後に続く人は簡単です。過去2年間に10人の退職社員がいたなら、10人から請求されることになるでしょう。

残業代請求 手続きの流れ

また、残業代の未払いでは、取締役や監査役にも責任があるため、個人である取締役や監査役にも請求をした訴訟がありました。取締役や監査役の場合、時効は10年ですので、2年の時効にかかっていて会社に対して残業代請求ができない場合、会社役員に対して訴訟を起こされる可能性も十分にあります。

さて、残業代請求の具体的な対策としては、従業員の労働時間をきちんと把握しておくことです。労働審判や裁判になっても、従業員が残業時間を立証できなければ負けることはないと思っていたら、大間違いです。会社には従業員の労働時間を把握しておく義務があるので、従業員が立証できなくても、会社が従業員の労働時間を把握していなかったら、従業員の主張が認められる可能性が高くなります。また、「名ばかり管理職」というのが問題になっていますが、「管理職」として規定していても残業代を払わなければいけないケースもあります。

一旦訴訟が起こされてしまったら、その後でいくら優秀な弁護士をつけたとしても、高い確率で負けてしまいます。
あらかじめ労働問題に強い弁護士事務所と顧問契約を結んでリスクに備えておくことをお勧めします。