post truthとは?

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post truthとは?

post truthとは

post truth とは、客観的な事実や真実に基づかない無い真実、即ち嘘もしくはデマに近い事を意味する言葉で、最近ニュースで頻繁に用いられるようになりました。

英語の truth は「真実」という意味で、post truth は日本語で「ポスト真実」と言われることもあります。

post truth」という言葉が使われるようになったきっかけは、2016年に行われたイギリスのEU離脱の是非を問う国民投票(Brexit)とアメリカの大統領選挙でしょう。特にアメリカ大統領選挙では、後に大統領となるドナルド・トランプ氏はアメリカの失業率が42%であるなどの客観的事実とは異なる真実を主張して当選を果たしました。

トランプ氏は大統領に就任してからも、大統領就任式に参加した聴衆の数が前任のオバマ大統領よりも少なかったと主要メディアが報道した際にも、主要メディアの客観的事実以外のもう1つの真実があるとして、オバマ大統領の時よりも聴衆の数は多かったと主張しました。この際にも「post truth」という言葉が頻繁にニュースなどで用いられました。

こうした、嘘をもしくは誤った情報をあたかも事実のように語る現象は何も海外だけに限った話ではありません。日本でも大手IT企業が運営する、キュレーションサイトにおいて真実が定かではない記事の乱立や他サイトの記事を不適切な形で引用したり・転用する事例が相次ぎ問題となりました。

「post truth」のような発言する人は、それを事実として主張しますが、それを受け取る人達が事実を重視していないのかと言われればそうではありません。真実自体には大いに興味を持っているものの、むしろ「誤った情報を事実と思っている」もしくは「自分の主義主張にあった真実のみしか受け入れない」という人が多くいるのが現状です。

本当の事実なのかどうかの検証が不十分だったり、そもそも検証作業自体をしない人が多いことが原因ではあるのですが、こうした嘘やデマを信じるもしくは真実を認めようとしない背景には、人々が思っている本音や感情が嘘の発言者の言葉と結び付けられて流布してしまうという側面があります。

大統領選でトランプ氏の攻撃的な発言が一部の人に受け入れられた背景には、不安や不満を持つ人達の本音や感情を上手にすくい上げているからに他なりません。

また「post truth」にはさらに大きな問題が潜んでいます。

SNSが発達した昨今では、あからさまな嘘でも人から人へシェアされていくことで多くの人の目に触れることになります。更に、こういった記事を見た人が、内容を深く読んだり、事実かどうかを調べたりせずに拡散してしまう人が多いことは「post truth」による情報被害を増やしてしまう原因となっています。

「post truth」の情報拡散に手を貸さないように、真実を見極める目を鍛え、怪しい情報は自ら調べる癖をつけるようにすべきでしょう。