ロングテール戦略とは
ロングテール戦略とは、日本語に直訳すると“長い尾”戦略ということになります。
例えば、ある企業が取り揃える数々の商品群について、売上げ上位の品目から順に、左から右へと棒グラフを並べたところを想像してみてください。
当然トップの売上高を挙げている品目が最左端にきます。その隣には売上高二番目の品目がきて、だんだんと棒グラフの山の高さは右側に行くに従って低くなだらかになっていきます。一般的には、この棒グラフ群の全体の形は、ちょうど一つの山の半分を切り取ったかのように、左端が最も高く、そこから裾を引くようになだらかになっていくわけです。ちょうど、この山の裾が長く尾を引くように見えることから、この部分を「ロングテール」と呼ぶのです。
つまり、売上高の高い上位数品目に注目するのではなくて、個々に見ると売上高は低いけれども、全体としては尾を引くように長く、品目数の多い部分に着目したのがロングテール戦略です。
ところがこのロングテール戦略とは、通常の戦略ではむしろ愚策というか、あまり省みられることのない考え方でした。ロングテールに注目するのではなく、売上高の高い上位の商品に特に注目すべしというのが常識的な物の考え方だったのです。
よく、「7対3の法則」などと言われることがありますが、売上高の高い上位3割の品目だけで、会社全体の売上高の7割を占めているというような経験則さえ言われているくらいで、このような状態では上位3割の商品をいかに効率よく販売するかに集中し、残りの7割の商品はいわばどうでもよいというか、放っておいて売れてくれればそれで良し、特に売上げアップのための方策など考えるだけ時間の無駄という思考になっても当然かもしれません。
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従前の販売形式では、多くの在庫を抱えることははっきり言って無駄で、在庫スペースの賃貸料も馬鹿にならず、売れるかどうかも分からない多くの品目を在庫として抱えるよりは、売れる少数の品目に注力したほうが効率的だったのです。しかし、インターネットの発達がその常識を変えることになります。顧客と対面しないネットの世界では、多くの在庫を抱えることもさして非効率にはならなくなってきたのです。
そして、その結果として生まれたのが、「7対3の法則」とは逆の「ロングテール戦略」です。インターネットのバーチャルな世界では、売れ行きの悪い品目の管理に大きな手間は掛かりません。できる限り多くの品目をラインナップすることで、ロングテールの裾野を限りなく長くしていき、ロングテールの面積を広げていく=大きな売上げにしていく、いうのがロングテール戦略なのです。