少子高齢社会に突入し、人口の減少が加速しつつある日本では多くの外国人を受け入れない限り、国が成り立たないのではないかと言われるほど、人材不足に悩まされる時代を迎えつつあります。
特に看護介護の分野や技術産業、第一次産業のように現時点で既に人材不足の業種を中心に深刻さが増してくることが予想されます。そうした中、救世主と期待されているのが 外国人技能実習生 です。
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元々は、外国人研修制度で日本にやってきた外国人労働者の中でも研修態度や技術の習得度、日々の生活態度などが優良だった人を中心に、企業と雇用契約を結んだうえで生産活動に従事し、より高いスキルを習得して本国に持ち帰ってもらいたいということで始まったのが外国人技能実習制度です。外国人技能実習制度ができて以降は研修生がほとんど存在せず、ほぼすべての外国人労働者が外国人技能実習生になっています。
現在の外国人技能実習制度において滞在時間は最長3年となっていますが、期間の延長と外国人技能実習生の不当な働かせ方を監視する機関の立ち上げなどが検討されています。最近では働き手となっていた在日ブラジル人が減少しており、その穴埋めとして外国人技能実習制度を利用する企業も少なくありません。中国だけでなく、東南アジアの様々な地域から外国人技能実習制度を利用して多くの外国人が来ています。とはいえ、人材不足がこれによって解消となるかというと話は別です。
外国人技能実習制度の最大の目的は、開発途上国にいずれは戻って技術提供をすることです。本来、そのために実習生を招いているのですから、人材不足の解消を目的として外国人技能実習生を使うのは趣旨から反しており、外国人に対する労働ビザを発行するなどして人材不足の解決にあたることが求められます。
外国人技能実習制度を利用する外国人は 17万人ほどで人口減少によって生じた労働力不足を考えるとまだ足らないのが現状です。また、外国人技能実習生を受け入れている企業のほとんどは中小零細企業で、労働環境や雇用関係などがないがしろにされる場合も珍しくはありません。こうした制度に関する綻びが目についている状態であることから、外国人技能実習制度は本来趣旨の開発途上国への間接的な技術提供へ戻すことが得策でしょう。
そして、それでも対応できない人材不足に対しては、移民制度の導入が考えられますが、反発が予想されます。現状、抜け穴として外国人技能実習制度が使われている側面があり、人口減少社会において深刻化するであろう人材不足に対して、外国人技能実習制度以外の方法でどう対応するかが今後のカギとなるでしょう。