「クズネッツの逆U字曲線理論」とは?

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「クズネッツの逆U字曲線理論」とは?

「クズネッツの逆U字曲線理論」とは

クズネッツの逆U字曲線理論とは、経済学に関連する仮説の一つで、経済発展によって世の中に生じる不平等がどのようなものなのかを理論的に証明しようとする仮説のことです。

景気変動の波の一つ「クズネックの波」で知られるサイモン・クズネッツは、経済学の観点から見て、世の中の景気の状態の変化に関して「逆U字曲線理論」という特殊な理論を提唱しました。

「クズネッツの逆U字曲線理論」についてもう少し詳しく説明してみましょう。

例えば、ある国で急激な経済発展があったとします。

最初は、まだ多くの人に給料が与えられていないので、格差はそれほど大きくはなりません。しかし、継続的に経済発展を続けていくと、経済発展のさなかで頭角を現してくる人材や団体が多く出て来ます。そうした人たちには多くの給料が分配されますので、当然この層には所得が多くなります。つまり、継続的に経済発展をしていくと、必ずその中で格差の拡大が出てきてしまうわけです。

その結果、経済発展における弱者の立場に立たされる人たちも生まれていくのですが、そうなると、社会全体に所得分配の不平等の改善を求める声が高まり、社会改革が実行されて経済格差が再び小さくなっていきます。

このように、ある程度の経済発展を遂げるとともに所得格差が広がり、その格差の広がりを防ぐために何らかの外的な要因が入る結果、経済的な格差の不平等の幅も最終的にはまた小さくなっていくという仮説を「クズネッツの逆U字曲線理論」というのです。

「クズネッツの逆U字曲線理論」を証明するために何人もの学者や研究家が実証や理論的な証明を繰り返していますが、逆U字曲線理論にはこうした格差に関する面だけではなく、経済発展による自然破壊を実証しようとする動きもあります。

この場合の考え方は経済の格差の時と全く同じで、経済発展が続いていくと環境破壊が進んでいくが、さらなる発展によって今度はその環境破壊を技術や外的要因によって是正する働きが生じるため、結果的に環境破壊は収まっていくことを理論として証明しようとするものです。

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