コインチェック社は破綻回避できない
仮想通貨取引所大手のコインチェックで仮想通貨NEM 約580億円相当が流出した “事件” は皆さんご存知のことと思います。
流出当日の夜、東京証券取引所で開かれた記者会見の全文を読み、個人的な観測になりますが、コインチェック社が破綻を回避する道はないと思いました。
コインチェック社が破綻する理由1
コインチェック社が破綻すると考える理由の一つが「責任を取れる経営者がいない」ということです。
記者会見中、代表取締役である和田氏、取締役である大塚氏とも、幾度となく株主に相談しないと会社の基本情報を公開できないと発言していました。
経営者である和田氏、大塚氏で株式の過半数を所有していながら、株主に相談をしなければならない理由が正直わかりません。
会社には裏の支配者がいるのか、あるいは単なる責任逃れなのかはわかりませんが、透明性の高い企業でないことは間違いありません。
コインチェック社が破綻する理由2
理由の二つ目は、最初の点とも被りますが、企業としてガバナンスが欠けているという点です。
コインチェック社が運営する仮想通貨取引所の利用者数がわからず(あるいは何らかの理由で出せない)、財務状況も公開しない(あるいは公開できない)。こういった情報開示の仕組みが整っていない状況は、いかに非公開会社とはいえ、金融に携わる会社として許されるものではありません。
ましてや、仮想通貨の交換事業者として金融庁に登録申請を行っている中で、この状態ということですから、ガバナンスなどないと言っても良いでしょう。
コインチェック社が破綻する理由3
理由の三つ目は、金融庁は、仮想通貨の交換事業者として登録しないということです。
- 責任の所在が不明で、意思決定権者がわからない
- 財務諸表を明らかにしない
- ガバナンスがない
さらに、システム面の対応をおろそかにして、みなし事業者のまま新規顧客をCMで勧誘する会社ですから、金融庁は、コインチェック社を仮想通貨の交換事業者として登録するはずはありません。
みなし事業者として営業できる3月末までに登録される可能性はないと見るのが妥当で、そうなるとコインチェック社は事業継続ができなくなるのです。
先般、コインチェック社は、流出した仮想通貨について、日本円で返金する旨の発表を行いましたが、事業継続そのものが不可能な状態では空手形になると見ています。