ストレスチェックのポイント
現代社会において、仕事上のストレスによるうつ病の発症が問題となっています。それに伴い、ストレスマネジメントのための資格制度が設けられたり、過労を防止するために政府では働き方の改革に取り組もうとしています。
それらを受けて、企業においても社員のストレス管理が重要な課題となっており、従業員50人以上の事業所にはストレスチェックが義務化されました。社員がストレスをため込むことがないような職場づくりをするためには総務が中心となり、産業医や経営層、各部署の管理職と連携しながら日常の生活で社員のストレスチェックを行う必要があります。
ここでは、そのストレスチェックのポイントについて説明してみましょう。
・ストレスチェック実施前のポイント
実施目的から実施体制・方法をはじめ、チェック結果の取り扱い方法、通知方法などの審議と確認を行います。この場合、法令等に則った上で社内の規定として策定し、あらかじめ労働者にそれらを周知する必要があります。
ここでご注意いただきたいのは、ストレスチェックを受ける義務は労働者にはなく、受検を拒否することができる点です。もし拒否された場合でも、その労働者に不利益な扱いをしてはいけません。また、チェック結果は個々の労働者に対して直接通知するのが原則であり、会社が結果を知るには、該当労働者の同意が必要です。
・ストレスチェック実施時のポイント
ストレスチェックの実施頻度は1年以内ごとに1回以上とされています。
基本は調査票への記入で行います。ストレスチェックの実施主体は会社ではなく、一定の研修を受けた看護師や医師です。実施をサポートする担当者が別途置かれる場合もありますが、その場合も該当事業所の人事権がなく、ストレスチェックの結果等を漏らさないことを約束する必要があります。
・ストレスチェック実施後のポイント
ストレスチェックの結果は、事業所が実施主体に5年間保存させなければいけません。また、労働者の同意を得て会社に提供された結果情報についても、同期間の保存義務があります。
高ストレス者と判定され、なおかつ労働者本人が希望した場合は、産業医などとの面接指導を受けることができます。その申し出があった時点で事業所が高ストレス者であることを把握し、面接指導後には、事業所は面接医の意見を聞き、必要に応じ労働者の就業上の措置を図ることになります。
この場合、高ストレスと評価された労働者が面接指導を希望しない場合や、面接指導の結果を受けて不当な人事(異動・解雇)を行ってはいけません。ストレスチェックの義務化は行われたばかりです。会社にとっても労働者にとっても不利益にならないよう、ストレスチェックの制度を活用するようにしましょう。