テロ準備罪?共謀罪?新聞はどう報道したか?

雑感コラム

テロ準備罪?共謀罪?新聞はどう報道したか?2017年5月19日、「テロ等準備罪の創設を柱とした組織犯罪処罰法改正案」の修正案(以下、テロ準備罪法案)が衆院の法務委員会で自民・公明・日本維新の会による賛成多数で可決しました。

テロ準備罪法案といえば、野党を中心に「共謀罪法案」と呼んで成立を阻止する構えです。そこで、テロ準備罪法案をマスコミの代表格である新聞社がどう伝えたのか、各紙の考え方が一番よく出る紙面の見出しを見てみようと思います。

基本的には紙面の大見出しを記載しますが、紙面が確認できなかったものについては、各新聞社サイトにある見出しを記載することにします。

当サイトでもあえて「共謀罪」と書いたページもありますが、本来、「共謀罪」とレッテル貼りをすることは、報道機関としては正確性に欠くことになります。では、全国の主要新聞社はどう伝えたのかを早速見てみることにしましょう。

全国紙の見出し

読売新聞 テロ準備罪 衆院委可決
朝日新聞 「共謀罪」熟議なき可決
毎日新聞 「共謀罪」衆院委採決強行
産経新聞 テロ準備罪 衆院委可決
日本経済新聞 「共謀罪」法案、今国会成立へ

ブロック紙の見出し

北海道新聞 「共謀罪」衆院委可決
河北新報 「共謀罪」採決強行
中日新聞 「共謀罪」採決強行、衆院委可決
東京新聞 共謀罪、衆院法務委で可決強行
中国新聞 「共謀罪」採決強行
西日本新聞 「共謀罪」採決強行

主な地方紙の見出し

静岡新聞 共謀罪法案、野党徹底抗戦の構え
神戸新聞 「共謀罪」強行採決
新潟日報 共謀罪、23日衆院通過図る
信濃毎日新聞 「共謀罪」県内各地 抗議が活発化
山陽新聞 「共謀罪」採決強行
南日本新聞 共謀罪、23日衆院通過図る
熊本日日新聞 共謀罪、23日衆院通過図る
北國新聞 共謀罪法案、野党徹底抗戦の構え
愛媛新聞 「共謀罪」採決強行
下野新聞 共謀罪法案、野党徹底抗戦の構え
上毛新聞 共謀罪法案、野党徹底抗戦の構え
福島民報 「共謀罪」採決強行
秋田魁新報 共謀罪、23日衆院通過図る
東奥日報 共謀罪、23日衆院通過図る
徳島新聞 共謀罪、23日衆院通過図る
大分合同新聞 共謀罪法案、野党徹底抗戦の構え
北日本新聞 「共謀罪」衆院委可決
高知新聞 共謀罪法案、野党徹底抗戦の構え
宮崎日日新聞 共謀罪、23日衆院通過図る
岩手日報 共謀罪法案、野党徹底抗戦の構え
神奈川新聞 「共謀罪」採決強行
山形新聞 共謀罪法案、野党徹底抗戦の構え
山梨日日新聞 「共謀罪」採決を強行
福井新聞 共謀罪、23日衆院通過図る
沖縄タイムス 「共謀罪」採決を強行
琉球新報 「共謀罪」採決強行

まとめてみて驚いたことに、「テロ準備罪法案」もしくは「テロ準備罪」と見出しに記載した新聞社は 37社中、読売新聞産経新聞のたった2紙でした。そして、朝日新聞を筆頭に、他の 35紙は「共謀罪」もしくは「共謀罪法案」と見出しに記載していました。

このように、一番目を引く「見出し」の内容が、ほとんどの新聞社で間違っている状況では、記事内容が正しいか以前に報道機関として情報の正確性が担保されていないと見るべきなのかもしれません。さらに言うなら、読者に対して恣意的に印象操作しようとしているのでは、といった疑念すら湧いてきます。

昨今、新聞の地盤沈下が進んでいると言われますが、こんな状態では当たり前でしょう。

現代は、インターネットの発達によって、誰でも国会の議論や発言は動画で見ることもでき、様々な情報を検索できる世の中です。できるだけ正確な情報を読者に届けるということを忘れて、世論操作をしようとしている新聞社があるのなら、近い将来、存在意義をなくして淘汰されるでしょう。

そういった意味では、今後の新聞の復権のカギを握るのは、ネットの普及などではなく、新聞社自身の報道姿勢なのかもしれません。