会社内の作業効率を上げる場合や適材適所で優秀な人材を配置したい場合などに用いられるのがピープル・アナリティクスです。
ピープル・アナリティクスとは会社内で行われる適性検査や業務内容、評価結果などをデータにし、それを分析することで社内環境の改善に努めるというものです。
社員にはカード型のもの、もしくは専用の端末を装着してもらい、普通に仕事をしてもらいます。その動きなどをデータにし、オフィス、事業所内をどのように動いているか、誰と会話をしているかといったものが収集されていきます。
気になるのは、会話の内容が傍受されるなどプライバシーの侵害につながるのではないかという疑問です。この場合では、声の大きさや話すスピードなどの情報こそ収集するものの、会話の具体的な内容までは記録されないようになっています。そのため、会社側が社員のすべてを管理し、それを査定に使うといったことはありません。
ただ、具体的な内容以外の情報はすべて筒抜けになり、タバコを吸うため一服する、必要以上にトイレに立つ、私用で携帯電話を触るといったことはデータなどで一目瞭然となります。ただ、これらは管理のためではなく、作業効率の改善のためであり、そのことを導入の際には伝え、徹底させる必要があります。
ピープル・アナリティクスを導入することで、例えば、退職者を予測することなどが可能になります。退職を考える人特有の行動があり、そうした行動をとる人を分析し、指導を行うということもできます。
一方で、今まで有効とされてきた、私語をしないなどの作業効率の上げ方は有効ではなく、コミュニケーションを積極的にしていくことがむしろ作業効率を高めるという結果がピープル・アナリティクスによって導き出されたケースもあります。
また、職場の生産体制に穴を開けないようにするのではなく、一緒に休憩を取らせることで生産性の高い交流を深めることができるという結果も出ているなど、今までの管理手法では気づくことのなかったことがピープルアナリティクスによって発見され、生かされています。
ピープル・アナリティクスなどの手法を活用するには、ある程度の規模や財政的な余裕、そのデータを活用する人材など様々な要素が必要となり、すべての会社が使いこなせるものではありません。
ただ、作業効率を少しでも上げたい、あるいはデータを活用する人材をこれから育てていきたい、という場合には、ピープル・アナリティクスのような手法は有効ですので、早めの導入を検討していくと良いでしょう。