「辞世の句」とは、人が死の間際に詠む漢詩・和歌・俳句などのことです。自分の人生を振り返り、この世に最後に残す言葉として、様々な教訓を私たちに与えてくれるといって良いでしょう。
古来より数えきれない辞世の句が残されてきましたが、今回は、上杉治憲の最後の言葉として、上杉治憲の辞世の句を紹介してみることにします。
上杉治憲の最後
上杉治憲(上杉鷹山)は、江戸時代中期の大名で、上杉景勝から始まる米沢藩9代藩主です。自ら粥を食べるなど倹約と産業振興により、深刻な財政難にあえいでいた米沢藩の財政を立て直し、江戸時代屈指の名君として知られています。30代で家督を譲った後も後見として藩政を支えた上杉治憲ですが、1822年4月2日に老衰で亡くなりました。享年70歳でした。
そんな上杉治憲の辞世の句と言われているのが以下の句(短歌)です。ただ正確には、この句は死の直前ではなく、次の藩主へ家督を譲った時に詠んだと言われています。
上杉治憲 辞世の句
「成せばなる 成さねばならぬ 何事も 成らぬは人の 成さぬ成けり」
この歌を現代文に訳すなら、
どんなこともやればできる、しかしやらなかれば何もできない。できないということはやらないだけということだ。
といったところでしょうか。
「為せば成る 為さねば成らぬ 成る業を 成らぬと捨つる 人のはかなき」という武田信玄の名言のオマージュと言われています。
死を前にした時、彼の頭の中を去来したのはなんだったのでしょう。この上杉治憲の最後の言葉である辞世の句は、皆さんの心にどう響きましたか?