お客様の中には一年に何回も人材を募集している会社が結構あります。
「あれ?この前も採用活動していませんでした?」と聞くと、「会社が急成長していて慢性的な社員不足なんです」とのこと。人が足りないほど事業が急成長しているのは何よりなのですが、実はそういう会社には少々気がかりなことがあったりします。
今回は、そんな恒常的に「人が足りない」会社について考えてみることにしましょう。
何年も仕事でお付き合いしている会社だとよくわかるのですが、急成長著しい会社は、拡大していくにつれて会社の社風の良いところが薄れていったり、チャレンジ精神を失うことが多いように思います。
そういう会社は慢性的・恒常的に社員不足なわけですから、ある程度の基準を満たせば積極的に人材を採用していきます。会社の社風に合う合わないなどよりも、会社として必要としているスキルを持っているかどうか、の方が数十倍重要で、その結果、古参社員、新入社員、中途入社社員が入り混じって、元々の社風が変わっていくのでしょう。
さらに、スキル・考え方・育ち方が異なる社員が混在しながら、常に社員が出たり入ったりを繰り返しながら社員規模が大きくなってくると、業務の意思決定も変わってきます。例えば、以前なら「まず、やってみよう!」となっていたところが、「組織としてしっかり精査した上でやる」といった感じになります。「しっかり精査する」こと自体は悪いことではないのですが、物事を始める前から「上手くいきそう」「失敗しそう」を判断する為に時間を費やすようになり、そのうち「失敗しにくそうで安全な “チャレンジ”」ばかりになってしまいます。
その結果、以前を知っている第三者から見ると、
- 提供スキルの低下
- 意思決定時間の増大
- チャレンジ精神の減少
などを感じるようになります。
そして悪いことに、成長著しい会社の社長さん自身が、こういった会社の変化に気づいていなかったりするわけです。
一方で、事業の規模を拡大することは、企業としての、経営者としての至上命題です。
当社では、人材関連企業の “人材の集客” をいくつも手掛けていますが、プロである中堅・大手の人材関連企業でさえ、人材確保に四苦八苦している状況です。人材募集サービスを使えば、採用できるといった時代ではありません。むしろ、人材不足のこのご時世、社員数人〜数十人の小規模零細企業が必要な人材を適時採用できるのは非常に稀といって良いでしょう。
さらに、法令改正等で一人当たりの労働時間は今後より少なくなっていくことが予想されます。
人が採用できないだけでなく、既存社員一人当たりの “労働力” も減ることがあっても、増えることは想定しにくい状況です。
これからの時代は、どういう業種であっても、業務をゼロベースで見直し、作業工程を細かく検証し、人手に頼らず効率化していくことが必ず必要になってきます。
会社の事業規模を拡大 = 社員数を増やす
ことでは必ずしもありません。人手だけに頼らず、会社の事業規模を成長させていける、そんな企業経営の工夫が、少子化の進む中で小規模零細企業に必要だと思います。
御社は常に社員不足の状態になっていませんか?