勤務間インターバル規制とは?

経営に役立つ用語

勤務間インターバル規制とは?勤務間インターバル規制とは、時間外労働などを含む1日における最終勤務終了時間から翌日の勤務始業時間までに一定のインターバルを保障することにより、従業員の休息時間を確保しようとする制度のことを言います。

これまでの長時間労働に対する国の政策には時間外の賃金を割り増しするという事に焦点が当てられてきました。

しかし厚生労働省の過労死防止対策白書によると、長時間労働は働き盛りといわれる30代から40代の男性に特に多く見られ、例えば月末の残業時間が1週間で20時間以上にものぼり8時間を通常の就業時間とした場合単純計算で1日4時間以上もの時間外労働をする従業員の割合が2割近くにも上っています。

厚生労働省の調べでは毎年多くの労働者が過労死や過労自殺していることが明らかになり、短い睡眠時間が常態化することで健康状態に問題がおこり、生活時間や睡眠時間を確するためにも規制が必要であると考えられるようになりました。

また、JILPT(独立行政法人 労働政策研究・研修機構)の労働調査では定時で退社できるのであれば、その時間を心身の休養やリフレッシュにあてたいと答える方が6割を超え、家族との団らんや趣味を楽しむことよりも「休みたい」との声が多く上がったことに、この問題の深刻さがうかがえます。

EU諸国では2000年に改正された「EU労働時間指令」に基づいて労働者の健康と安全確保の観点から、24時間につき最低連続11時間の休息時間を付与することと、7日ごとに最低24時間の休息を付与することが、すでに義務付けられています。日本国内における勤務間インターバル規制の現状は認知度は高まっているものの、一般労働者にはまだまだ浸透しきれていません。

現在では2015年の春闘の交渉に基づいて就業規則に「8時間以上のインターバル」が定められ、安全衛生規定には健康管理上の指標として「11時間のインターバル」を設定している状況です。

勤務間インターバル規制が導入されることにより過重労働の防止につながり従業員の心身の健康を守り、負担が軽減されることが期待されていますが、36協定では労働基準法で1日8時間以上の労働を禁じているにも拘わらず、労使合意の条件を満たした場合は労働時間の延長が認められています。

これは会社側だけに限らず従業員自身が残業を計算にいれた業務数をこなすことを当然と考えていることにもあるのかも知れません。長時間労働の改善にはこうした会社側・従業員側の労働意識をどう変えていくかが重要になりそうです。