唇亡びて歯寒し

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唇亡びて歯寒し

唇亡びて歯寒し(くちびるほろびてはさむし)

古来より、人は自らの教訓を言葉で残し、古人の知恵や経験を「故事成語・ことわざ」として現代に伝えてきました。

その中から、時を超えて、人生に様々な示唆を与えてくれる「故事成語・ことわざ」を独断と偏見で選んでみました。きっとビジネスだけでなく、人生においても参考になるでしょう。

今回選んだのは、

「唇亡びて歯寒し(くちびるほろびてはさむし)」

という中国の古書「春秋 左氏伝」が出典の故事成語です。

「唇亡びて歯寒し(くちびるほろびてはさむし)」とは

「唇亡びて歯寒し」とは、
一方が滅びると、他の一方も危うくなるような持ちつ持たれつの関係」のことです。

ちなみに出典となった「春秋左氏伝」の一節を見てみると、

晋侯、復た道を虞に假りて以て虢を伐つ。
宮之奇、諫めて曰く、
虢は虞の表なり。
虢亡ぶれば、虞必ず之に従はん。
晋に啓く可からず。
一に之甚だしと謂ふに、其れ再びする可けんや。
諺に所謂、輔車相依り、唇亡びて歯寒しとは、其れ虞・虢の之を謂ふなり、と。

となりますが、現代文に訳すなら、

晋が虢を討つ為に虞の領内を通らせて欲しいと依頼してきました。 これを聞いた虞公の家臣 宮之奇は、

虢は虞の表のようなものです。 虢が滅べば、虞もこれに続いて滅ぶこととなるでしょう。 晋に通過を許すべきではありません。 以前に一度、通過を許したのに、また通過を許すことは愚の骨頂と言えるでしょう。 ことわざに「輔と車は互いに助け合い、唇がなくなれば歯は寒くなる」と言います。これはまさに虞と虢の関係のことなのです。

と諌めて言いました。

といった感じになります。

ちなみにこの後、虞公は家臣の諌めを聞かず、領内への晋の通過を許すのですが、晋は虢を滅ぼした後、虞も一気に滅ぼしてしまいます。

現代のビジネスにおいて「唇亡びて歯寒し」を考えるなら、例えば、不採算事業の閉鎖を検討する場合がそれに該当します。不採算事業を無くした結果、好調だった事業が悪化してしまうのはよくあることですから、負債採算事業といえども安易に処分せず、関連性の高い他事業がないかを十分に分析しておくべきです。

 

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