四面楚歌(しめんそか)

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四面楚歌(しめんそか)

四面楚歌(しめんそか)

古来より、人は自らの教訓を言葉で残し、古人の知恵や経験を「故事成語・ことわざ」として現代に伝えてきました。

その中から、時を超えて、人生に様々な示唆を与えてくれる「故事成語・ことわざ」を独断と偏見で選んでみました。きっとビジネスだけでなく、人生においても参考になるでしょう。

今回選んだのは、

四面楚歌(しめんそか)

という中国の有名な古書「史記」が出典の故事成語です。

「四面楚歌(しめんそか)」とは

「四面楚歌(しめんそか)」とは、
項羽と劉邦の最後の戦いにちなんだ言葉で「敵対する人に囲まれて孤立していることやその状態」を指します。

では、出典となった「史記」の一節を見てみましょう。

項王の軍垓下に壁す。兵少なく食尽く。漢軍及び諸侯の兵、之を囲むこと数重なり。

夜漢軍の四面皆楚歌するを聞き、項王乃ち大いに驚きて曰く「漢皆已に楚を得たるか。是れ何ぞ楚人の多きや。」と。

項王則ち夜起ちて帳中に飲す。美人有り、名は虞。常に幸せられて従ふ。駿馬あり、名は騅。常に之に騎る。

是に於いて、項王乃ち悲歌忼慨し、自ら詩を為りて曰く、

力は山を抜き気は世を蓋ふ
時利あらず騅逝かず
騅逝かざる奈何すべき
虞や虞や若を奈何せん、と。

歌ふこと数闋、美人之に和す。項王泣数行下る。左右皆泣き、能く仰ぎ視るもの莫し。

とあり、現代文に訳すなら、

項王の軍は垓下の城壁にたてこもった。兵士は少なく食料も尽きた。漢軍と諸侯の兵士が幾重にもこれを取り囲んだ。

夜、取り囲んだ敵軍が楚の国の歌を歌うのを聞き、項王は大変驚いてこう言った。「漢はすっかりもう楚を収めたのだろうか。なんと楚の国の人の多いことか」と。

項王は夜中起き上がり、陣中で宴をした。虞という名前の美人がいた。常に項王に寵愛され付き従っていた。騅という名の駿馬がいた。いつも項王はこの馬に乗っていた。

項王は悲しげに歌い、憤り嘆いて、自ら詩を作った。

我が力は山をも引き抜き、我が気はこの世をも覆う。時の運は自分に味方せず、駿馬である騅も疲れ果てて走れない。騅が走らないのを、どうしたらよいのだ。虞よ虞よ、君をどうしたらよいのだ。

と数回繰り返して歌い、虞もともに歌った。項王ははらはらと涙を流した。近習たちも皆泣き、誰も顔を上げることができなかった。

以上が「四面楚歌」にまつわる文章です。

私は漢文や漢詩のことはよくわかりませんが、絶望、愛、気力が衰えて諦めになっていく感情が映像として浮かんでくる名文だと思います。

 

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