回転期間分析とは
企業経営における重要な分析のひとつに「回転期間分析」があります。今回は、この「回転期間分析」について見てみることにしましょう。
回転期間分析とは、企業が有する資産や負債の大きさが妥当であるかどうか、また投下した資本で得た資産や発生した負債の妥当性や効率性はどの程度なのかなどを明らかにする手法です。あえて非常に簡潔に述べるとするならば、経営が上手くいっているかどうかを知る分析と言えます。
では、この「回転期間分析」を簡単なことから少しずつ見ていきましょう。
回転期間分析は、その名の通り各種の回転期間を分析することになりますが、そもそもこの分析対象となる回転期間を知らなければ、回転期間分析を理解することはできません。
回転期間とは、ある特定の資産を回収するまでの期間、あるいは負債を支払うまでの期間を表します。現代の企業経営では、利益が出ながらも倒産してしまうという、いわゆる黒字倒産が増えてきており、その原因のほとんどが資金繰りにあるとされています。掛取引が発達したことにより、売り上げと現金回収の時期にズレが生じ、その結果債務を支払えなくなって倒産してしまいます。そのため、売上債権や仕入債務の回転期間、もっといえば棚卸資産の回転期間などの分析が重要となります。
では、具体的な算出方法を売上債権回転期間を例に見ていきましょう。
基本的な算式は、売上債権(売掛金や受取手形の合計)を、売上高(月商や年商)で割り、出た値に 12 ないし 365 を掛けることになります。たとえば、売掛金が 50、受取手形が 50、売上高(年商)が 1000 だとすれば、売上債権の合計の 100 を売上高の 1000 で割り、これに 365 を掛けると 36.5 となります。これは、売り上げの際に発生した売上債権が、平均で36.5日で現金として回収できているということを意味します。
回転期間分析では、各種の回転期間を分析して出た結果を、過去の実績や業界平均などと比較することによって、現在の企業経営の健全さを明確にします。
例えば、売り上げで発生した売上債権は、出来るだけ早く現金として回収することが望ましいため、売上債権回転期間は短ければ短いほど良く、仕入債務の回転期間は長い方が望ましくなります。もっと厳密に計算するならば、より細かい条件が加わり、また様々な回転期間の種類がありますが、まずは以上のような基礎的なことから押さえるようにしましょう。