目次
岸を隔てて火を観る
古来より、人は自らの教訓を言葉で残し、古人の知恵や経験を「故事成語・ことわざ」として現代に伝えてきました。
その中から、時を超えて、人生に様々な示唆を与えてくれる「故事成語・ことわざ」を独断と偏見で選んでみました。きっとビジネスだけでなく、人生においても参考になるでしょう。
今回選んだのは、
「岸を隔てて火を観る」
という中国の有名な兵法書「三十六計」が出典の故事成語です。
「岸を隔てて火を観る」とは
「岸を隔てて火を観る」とは、
「相手の内部に乱れがあるようなら、放置して待つことで、自然と相手は自滅自壊を誘う」という意味になります。
「岸を隔てて火を観る」の話
中国の後漢末期、味方の内部分裂から曹操に破れた袁尚・袁煕の兄弟は、北方の公孫康の下へと逃げ込みました。それを見た曹操の家臣たちは追撃を勧めましたが、曹操は追撃をしようとせず兵を引きました。
しばらく経つと公孫康は袁尚・袁煕を切り、その首を曹操へ送ってきました。こうなることを予言していた曹操に、家臣が追撃しなかった理由を尋ねると「追撃していれば、袁尚・袁煕と公孫康は団結して立ち向かってきたであろうが、兵を返して放っておけば、内部分裂してこうなるのは明らかであった」と答えたと言います。
一見、大きく強固な組織に見えても、組織の団結は案外脆く、内部にはいくつかの火種を抱えているものです。
むやみに真正面から攻め続けるのではなく、「岸を隔てて火を観る」のように一歩引いて相手の内部崩壊を待つという選択肢も、時には必要だと言えるでしょう。