怒髪天を衝く

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怒髪天を衝く

怒髪天を衝く(どはつてんをつく)

古来より、人は自らの教訓を言葉で残し、古人の知恵や経験を「故事成語・ことわざ」として現代に伝えてきました。

その中から、時を超えて、人生に様々な示唆を与えてくれる「故事成語・ことわざ」を独断と偏見で選んでみました。きっとビジネスだけでなく、人生においても参考になるでしょう。

今回選んだのは、

怒髪天を衝く(どはつてんをつく)

という中国の有名な古書「史記 藺相如伝」が出典の故事成語です。

「怒髪天を衝く(どはつてんをつく)」とは

「怒髪天を衝く(どはつてんをつく)」とは、
「髪の毛が逆立つほど、激しく怒る様子」のことです。

では、出典となった「史記」の一節を見てみましょう。

秦王章台に坐して、相如を見る。
相如璧を奉じて秦王に奏す。
秦王大いに喜び、伝へて以て美人及び左右に示す。
左右皆万歳と呼ぶ。

相如秦王の趙に城を償ふの意無きを視て、乃ち前みて曰はく、
「璧に瑕有り。請ふ王に指示せん」と。
王璧を授く。
相如因りて璧を持ち、卻立して柱に倚り、怒髪上りて冠を衝く。

とあり、現代文に訳すなら、

秦王は章台に座り、藺相如と会った。
藺相如は璧を秦王に献上した。
秦王は大いに喜び、手渡しして愛妾や側近たちにも見せた。
側近たちは皆万歳を叫んだ。

壁と交換を約束した城を渡す意思がないことを見て取った藺相如は、そのまま秦王の前に進んでこう言った。
「実はこの璧には傷がございます。その箇所を指し示めしても宜しいでしょうか。」
秦王は璧を藺相如へ渡した。
藺相如は、璧を持って後ろに退いて立ち、柱に寄り掛かると髪が逆立ち冠を突き上げるほどの怒りを表した。

といった感じになります。

「怒髪天を衝く」として史記に出てくる藺相如(りんしょうじょ)は、中国の戦国時代の末期に趙の宰相を務めた人物です。

史記を編纂した司馬遷は、この藺相如の能力を高く評価しており、史記の藺相如伝から「怒髪天を衝く」の他にも「完璧」や「智勇兼備」「刎頸の交わり」などの故事成語が生まれています。

 

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