残業代ゼロ法案とは?

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残業代ゼロ法案とは?

残業代ゼロ法案とは

残業代ゼロ法案とは、高度プロフェッショナル制度と呼ばれる、年収1075万円以上を対象とした新しい働き方に関わるルールで、安倍内閣が掲げる「働き方改革」の目玉とも言える制度の一つです。

野党側は、この高度プロフェッショナル制度に反対の立場で、通称として「残業代ゼロ法案」と名付けています。

この残業代ゼロ法案は、脱時間給制度、ホワイトカラーエグゼンプションとも呼ばれていて、特定の条件下でこれまでの労働基準法の適用を外す内容で、2015年に閣議決定・国会に提出された労働基準法改正案のことを指します。2017年10月現在、残業代ゼロ法案(労働基準法改正案)は、国会で審議入りできていない状況で、今後の動向が注目されています。

具体的には、労働時間や休日の制限、深夜の割増賃金の対象から外れることなどが、残業代ゼロ法案の特徴といえるでしょう。

適用される対象者としては、金融商品の開発業務やディーリング業務、市場や企業の分析を行うアナリスト、事業と業務の企画や運営を仕事とするコンサルタントが該当し、書面で契約して職務の範囲が明確になっていたり、その範囲内で労働しているといった条件があります。

年収1075万円という金額は平均給与の3倍が基準となっていていますから、大多数の労働者にはあてはまらず、限られた人だけが対象となる制度になります。

残業代ゼロ法案のメリット

残業代ゼロ法案のメリットとしては、まず、働き方の自由度が増して、生産性の向上に期待できることです。残業代ゼロ法案では、成果で報酬が決まるという性格が強いので、モチベーションがアップしたり、正確な評価に基いて報酬が支払われることになります。

これまでの労働基準法は、労働者を守る傾向が強い代わりに制限も多く、その制限が労働生産性を下げる要因だとされていました。

元々、生産性の高い人は特に、労働基準法の枠にマッチしていない可能性があり、これに変わる新しい制度が必要とされたことから、残業代ゼロ法案が生まれました。残業代ゼロ法案により自由な働き方が実現することで、労働者の側はワークライフバランスが取りやすくなり、企業にとっては無駄な残業代の削減が期待できます。

残業代ゼロ法案のデメリット

一方、残業代ゼロ法案のデメリットとしては、残業が横行する懸念であったり、成果を評価する難しさが挙げられます。

野党などから「残業代ゼロ法案」とも呼ばれているその理由は、従来のルールに従い残業代が支払われなくなることで、サービス残業が発生しやすくなると考えられている点にあります。また、報酬が成果によって決まりますから、成果を評価する側、つまり企業に有利な制度だという批判も出ています。

こういった批判は、残業代ゼロ法案の見直しに結び付いていて、4週間に最低でも4日、年間104日の休日を確保することや、退勤から次の出社まで一定のインターバルを設けるルールも盛り込まれ、2週間連続の休暇であったり、臨時の健康診断も見直し案として検討されています。

残業代ゼロ法案(高度プロフェッショナル制度)は、正しく運用されればメリットのある制度ですが、まだ導入に際しての様々な課題が残っている状態だと言えます。働き方を改善して生産性が向上できるよう、念入りな制度設計をする必要があるでしょう。