減損会計とは
減損会計とは、回収可能性をより確実に反映させるためのもので、資産の帳簿価額を適切な価額まで減額する会計処理のことを言います。
企業は、様々な資産と活用して利益を確保し、企業業績を挙げるようになっていますが、その資産については貸借対象表に必ず計上しています。しかし、何らかの事情で資産の評価が減ったり、時価が下落したりして、資産価値が減少することもあります。
こうした際に、これまでの投資に相当する金額が資産として認め難いことのなるので、その帳簿上に記載した価額を、一定条件の下に、実際の回収可能性により近いものにするために減額することを「減損会計」と言います。
減損については、有価証券や販売用不動産などについては、すでに導入され、適用されてきましたが、土地や建物という固定資産に対するルールがなかったため、新たに有形固定資産、無形固定資産、そして投資不動産を対象にして適用されています。
ただし、減損会計の現在のルールでは、会社の保有する固定資産のすべてに関して適用となっておらず、減損の可能性がある固定資産を把握し、減損の兆候があるものに限定して把握することとされています。
減損の兆候とは、営業活動の損益やキャッシュフローがマイナスの場合、事業の廃止、再編当初の見込みより著しく早期の処分など、固定資産への投資額の回収可能価額を著しく低下させる変化が生じたこと、資産を使用している事業に関連して経営環境が著しく悪化したこととなっています。
減損会計の実際の運用としては、減損の存在が相当程度かどうかを調査し、その結果、減損が必要と判断した場合は、適切な価額まで減額して、その下げた相当額を減損損失として計上します。
細かいところは別として、このようなステップを踏むことで、固定資産の本当の実力が財務諸表に正確に反映されているものとすることができ、企業経営の透明性を高める処置になっているとも言えます。
もともと、土地や建物は一定の価値があって、特に土地に関しては、下がることはないということが前提でした。しかし、近年の土地や不動産関係の状況に鑑みて、より正しい姿を財務諸表にも反映しようという動きからの会計処理が減損会計です。減損会計の適用により資産状況の透明性高くなり、投資先について株主や投資の人がより正確な状況を把握するのに役立っています。