確率戦〜ランチェスター戦略
ランチェスター戦略の中に「弱者の五大戦略」と「強者の五大戦略」とがあります。
今回は、強者の五大戦略の1つである「確率戦」について見てみましょう。
確率戦とは、確率的兵器を使った戦いです。例えば、大軍のいる方向に乱射すれば誰かに当たる機関銃を確率的兵器といい、1対1の戦いではなく、1対複数の戦いで勝負しようとする、ランチェスター戦略の第2法則を象徴するような戦いを指します。
実際のビジネスに置き換えてみましょう。本来、企業同士のシェア獲得競争は1対1ということではなく、1対多数ということになります。
そのため、自然と「確率戦」が行われることになり、強者にとってみれば質と人員さえ適切に扱うことができれば、確実に勝てる戦いとなります。
強者が行う戦略の具体例としては、競合他社が多い分野に重点を絞るというものです。特に小売業、コンビニエンスストアなどでは自社間競合をあえて行い、同業他社を入り込ませない作戦がとられています。例えば、駅からちょっと歩いただけで同じチェーン店のコンビニエンスストアがいくつも並んでいる光景が目にしますが、これは強者の五大戦略の1つ「確率戦」が行われていることを証明しています。
フランチャイズチェーン店ではフランチャイズ同士で店の売り上げを競わせるということも行われており、これも「確率戦」の一種とされています。
1つ1つの地域で頑張りを見せれば、当然のことながらシェアの獲得は容易になります。これを本社がすべて取り仕切るのは限界があるため、地域ごとに分けて、責任者に運用を任せ、そこで地域同士で競わせることが大事になります。
また、メーカーの製品を競わせるということも行われます。飲料メーカーなどで毎年のように新商品が開発され、残るものは残り、売れないものは淘汰されます。この過程では、この分野がエアポケットだったとか、意外とこの製品にニーズがあったなど、新商品を開発するからこそ分かるものがあり、主力商品の改良や新たな営業戦略などに応用することができます。
いつまでも同じ商品を同じように売っていたとしても、いわゆる“武器の質”というものを上げることができなくなり、強者であっても敗れ去ってしまいます。最近では、他社が撤退予定の部門を譲り受け、自社ブランドとして売り出すということが行われており、飲料メーカーや大衆薬メーカーなどがこの形でシェア競争を行うなど、様々な戦略が繰り広げられています。
ランチェスターの戦略から勝ち方を学ぼう・・・
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