著作隣接権とは
著作隣接権とは、著作権法上で保護されている権利の一つで、小説などの書物や絵画などの美術品、映画などのエンターテイメント作品、歌詞や曲などの音楽作品、建築物など、小説家やデザイナー、作詞家、作曲家といった、直接的に作品を制作した著作物を、著作者本人の無形財産として保護する著作権とは厳密な定義が異なります。
著作隣接権では、主に、小説やエンターテイメント作品などの作品を、世に流通させる際に必要となる、演出家や舞踏家、歌手や俳優、演奏者や指揮者、レコードの制作者、民間の放送局や公共放送局、ケーブルテレビ局や有線音楽などの放送局が保護されています。
著作隣接権で保護される項目としては、俳優や歌手など、著作物を表現する方の場合であれば、実演家として、自身の氏名の表示の可否を決定する氏名表示権、自身の名誉を傷つけるような改悪を禁止する同一性保持権、著作物を実演する際の録画や録音などの行為を実行する録音権と録画権、インターネットなどの大衆性のあるシステムを通じて、多数の人間の要望に対応し、オートメーションによる送信を可能とする送信可能化権、商業用に販売されているレコードを放送局などが使用した際に、使用料を受け取ることができる商業用レコードの二次使用料を受ける権利、自身が実演した作品などの録音物を大衆へ向けて譲渡するための譲渡権、商業用のレコードが販売を開始してからの一年間はレコードを貸与することができる貸与権などがあります。
レコードの製作者の場合では、レコードの複製を可能とする複製権やレコードの複写をしたものを大衆へ譲渡することができる譲渡権の他、実演家と同様の、送信可能化権、商業用レコードの二次使用料を受ける権利、貸与権などがあり、放送事業者には、放送した作品を、録画や録音などの手法を用いてコピーできる複製権、再放送、有線放送をすることのできる再放送権や有線放送権、テレビジョンでの放送作品を用いて、放送画面を拡大し、大衆に向けて発信するテレビジョン放送の伝達権などが、著作隣接権で保護されています。
近年では、一般人が、ユーチューブなどのネットメディアを通じて、大衆に向けて、容易に情報を発信できることもあり、そうした著作隣接権の知識がないまま、配信をする方も増えています。自身がカラオケを歌う、カラオケ動画をユーチューブに投稿した男性が、カラオケ機器のメーカーと裁判になり、著作隣接権の侵害を認められる判決が下されたケースもあり、著作隣接権のあり方が改めて見直されています。