辞世の句とは
辞世の句とは、人が死を前にしてこの世に書き記す言葉で、一般的には、俳句・発句、和歌、漢詩などの形を取っていることがほとんどです。辞世の句は「辞世」と呼ばれることもあります。
辞世の句は、主に中世以降で詠まれるようになり、現代まで文人・武人を問わず数多くの辞世の句が残されています。
辞世の句は、比較的和歌の形で詠まれていることが多いのですが、以下に、俳句・和歌・漢詩で作られた辞世の句をいくつか挙げてみましょう。
辞世の句(和歌)
- 露と落ち 露と消えにし 我が身かな 浪花の事は 夢のまた夢(豊臣秀吉 辞世の句)
- 先に行く あとに残るも 同じこと 連れて行けぬを わかれぞと思う(徳川家康 辞世の句)
- おもひおく 言の葉なくて つひにゆく みちはまよわじ なるにまかせて(黒田官兵衛 辞世の句)
- 大ていは 地に任せて 肌骨好し 紅粉を塗らず 自ら風流(武田信玄 辞世の句)
- 後の世も また後の世も めぐりあへ 染む紫の 雲の上まで(源義経 辞世の句)
- 面白き 事もなき世を 面白く すみなすものは 心なりけり(高杉晋作 辞世の句)
辞世の句(俳句)
- 旅に病んで 夢は枯野を かけめぐる(松尾芭蕉 辞世の句)
- 散る桜 残る桜も 散る桜(良寛 辞世の句)
- 浮世の月 見すごしにけり 末二年(井原西鶴 辞世の句)
- 盥から 盥へうつる ちんぷんかん(小林一茶 辞世の句)
- 八十里 腰抜け武士の 越す峠(河井継之助 辞世の句)
- 腹いたや 苦しき中に 明けがらす(山岡鉄舟 辞世の句)
辞世の句(漢詩)
- 清風払明月 明月払清風(安国寺恵瓊 辞世の句)
- 孤軍援絶作俘囚 顧念君恩涙更流 一片丹衷能殉節 雎陽千古是吾儔(近藤勇 辞世の句)
- 四十九年一睡夢 一期栄華一盃酒(上杉謙信 辞世の句)
- 独在他郷憶旧遊 非琴非瑟自風流 団々影落湖辺月 天上人間一様秋(直江兼続 辞世の句)
皆さんも過去の偉人が詠んだ辞世の句を眺めてみませんか?