運用の妙は一心に存す
古来より、人は自らの教訓を言葉で残し、古人の知恵や経験を「故事成語・ことわざ」として現代に伝えてきました。
その中から、時を超えて、人生に様々な示唆を与えてくれる「故事成語・ことわざ」を独断と偏見で選んでみました。きっとビジネスだけでなく、人生においても参考になるでしょう。
今回選んだのは、
「運用の妙は一心に存す」
という中国の古書「宋史」岳飛伝に由来する故事成語です。
「運用の妙は一心に存す」とは
「運用の妙は一心に存す」とは、
「戦術や規則は、それを愚直に守っているだけでは実際の役に立たず、臨機応変に活用してこそ価値がある。活用出来るかどうかは用いる人の心一つにかかっている」という意味です。
中国 南宋時代の有名な武将 岳飛がまだ無名だった頃、金という国との戦いで首都であった開封の防衛を任された宗沢という武将が、岳飛に対して陣形の重要性を説こうとした際、岳飛が宗沢に返した言葉が「運用の妙は一心に存す」です。
戦術としての型自体には意味はなく、型に込められたものを汲み取って臨機応変に活用できるかどうかが重要で、それは策を用いる人の心にかかっている、と伝えたことから「運用の妙は一心に存す」という言葉が生まれたとされています。
それを聞いた宗沢は感心し、その後、岳飛を戦いで重用して、南宋時代を代表する武将になっていきます。
表面的な型や字面で経営戦略や社内ルールを運用していくことは、本来の趣旨と異なった方向に進んでいくことに繋がります。そういった意味では「運用の妙は一心に存す」のポイントは「事の本質を見極める力」と言えるのかもしれません。