目次
隠れたるより見わるるは莫し(かくれたるよりあらわるるはなし)
古来より、人は自らの教訓を言葉で残し、古人の知恵や経験を「故事成語・ことわざ」として現代に伝えてきました。
その中から、時を超えて、人生に様々な示唆を与えてくれる「故事成語・ことわざ」を独断と偏見で選んでみました。きっとビジネスだけでなく、人生においても参考になるでしょう。
今回選んだのは、
「隠れたるより見わるるは莫し(かくれたるよりあらわるるはなし)」
という中国の古書「中庸」が出典の故事成語です。
「隠れたるより見わるるは莫し」とは
「隠れたるより見わるるは莫し」とは、
「他人に内緒で行ったことが、かえって人に知られてしまうように、秘密は世間に知れやすい」という意味です。
ちなみに出典となった「中庸」の一節を見てみると、
道は須臾も離るべからざるなり。離るべきは道に非ざるなり。是の故に君子その睹ざる所を戒慎し、その聞かざる所を恐懼す。隠れたるより見るるは莫く、微かなるより顕かなるは莫し、是の故に君子その独りを慎むなり。
となりますが、現代文に訳すなら、
道というのは、わずかな間であっても離れてはいけないものである。離れられる道ということは、道ではないということだ。そのゆえ、道についてまだ見えていない時であっても戒めて慎み、まだ聞こえていない時であっても恐れて畏まるのである。道は隠れているように見えてもいずれは見えるものであるし、他の人が気付かないと思われるものであってもいずれは明らかになるから、君子は、自分だけがその道を知っている状態でも、それを慎んで恐れるのである。
といった感じになります。
「隠れたるより見わるるは莫し」といえば、スキャンダルや不祥事を起こした時、中途半端に都合の悪い情報を隠してしまうと、さらなる不祥事に発展することがあります。たとえ、他の人が気付かないと思うようなことであっても、包み隠さず正しい情報を提供することが最良のリスク管理になることを肝に命じておきたいものです。