禽困覆車(きんこんふくしゃ)
古来より、人は自らの教訓を言葉で残し、古人の知恵や経験を「故事成語・ことわざ」として現代に伝えてきました。
その中から、時を超えて、人生に様々な示唆を与えてくれる「故事成語・ことわざ」を独断と偏見で選んでみました。きっとビジネスだけでなく、人生においても参考になるでしょう。
今回選んだのは、
禽困覆車(きんこんふくしゃ)
という中国の古書「史記」が出典の故事成語です。
「禽困覆車(きんこんふくしゃ)」とは
「禽困覆車(きんこんふくしゃ)」とは、
「絶体絶命の窮地に追い詰められれば、弱者でも大きな力を出すことがある」という意味です。
ちなみに出典となった「史記」の一節を見てみると、
公仲、向壽に謂はしめて曰く、禽も困しめば車を覆えす。
となりますが、現代文に訳すなら、
(韓の)公仲は使者を派遣し、(秦の大臣である)向壽に次のように言わせた。「獣も追い詰められると、狩猟者の車をひっくり返すものです」
といった感じになります。
どんな相手でもこちらの側から追い込まないことの重要性を「禽困覆車」は教えてくれています。
職場においても、パワハラ・モラハラなどの言葉がよく聞かれるようになりましたが、立場の優位にまかせたハラスメントは、追い込んだ相手の逆襲で自分の身に帰ってくることがあります。「因果応報」という言葉もある通り、どんなに弱い相手であっても、謙虚に接することは大切です。