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鶏を割くに焉んぞ牛刀を用いん
古来より、人は自らの教訓を言葉で残し、古人の知恵や経験を「故事成語・ことわざ」として現代に伝えてきました。
その中から、時を超えて、人生に様々な示唆を与えてくれる「故事成語・ことわざ」を独断と偏見で選んでみました。きっとビジネスだけでなく、人生においても参考になるでしょう。
今回選んだのは、
鶏を割くに焉んぞ牛刀を用いん
という中国の有名な古書「論語」が出典の故事成語です。
「鶏を割くに焉んぞ牛刀を用いん
(にわとりをさくにいずくんぞぎゅうとうをもちいん)」とは
「鶏を割くに焉んぞ牛刀を用いん」とは、
「小さいことを処理するのに大掛かりな方法を用いる必要はない」という意味で使われます。
ちなみに出典となった「論語」の一節を見てみると、
子、武城に之きて絃歌の声を聞く。夫子莞爾として笑いて曰く、鶏を割くに焉んぞ牛刀を用いん。
となりますが、現代文に訳すなら、
孔子の弟子である子游が武城という町の代官をしていた時、孔子は武城を訪れました。すると、町の家々から弦歌の声が聞こえてきました。孔子は、にこにこしながら「武城のような小さな町を治めるのに子游のような(有能な)人物はもったいない」と言いました。
といった感じになります。
さらに言うなら、孔子は、半分冗談のような言い方の中に「武城のような小さな町に「礼」と「楽」を浸透させるのは少々大げさかも」という気持ちも込めたのかもしれません。
「鶏を割くに焉んぞ牛刀を用いん」について考えてみると、仕事をする際、常に「フルスペック」の環境を準備し、万全の体制で行う人がいますが、「鶏を割くのに牛刀を使う」ようなもので、使用するリソースがもったいない場合があります。
職場のリソースには限りがありますから、実施する仕事の内容に応じて、使うリソースを考えていかないと、他の人が必要とするはずのリソースまで使ってしまうことにもなりかねません。
「自己中」と職場の人から後ろ指を指されないよう、必要に応じた体制で業務をするようにしましょう。