愚公山を移す

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愚公山を移す

愚公山を移す(ぐこうやまをうつす)

古来より、人は自らの教訓を言葉で残し、古人の知恵や経験を「故事成語・ことわざ」として現代に伝えてきました。

その中から、時を超えて、人生に様々な示唆を与えてくれる「故事成語・ことわざ」を独断と偏見で選んでみました。きっとビジネスだけでなく、人生においても参考になるでしょう。

今回選んだのは、

「愚公山を移す(ぐこうやまをうつす)」

という中国の古書「列子」が出典の故事成語です。

「愚公山を移す(ぐこうやまをうつす)」とは

「愚公山を移す(ぐこうやまをうつす)」とは、
どんなに大きなことでも、根気よく努力を続ければ必ず成し遂げられる」という意味です。

ちなみに出典となった「列子」の一節を見てみると、

太行・王屋の二山は、方七百里、高さ万仞。本冀州の南、河陽の北に在り。
北山の愚公なる者あり、年且に九十ならんとす。山に面して居り、山北の塞がりて、出入の迂なるに懲しむ。
室を聚めて謀りて曰はく、「吾と汝らと力を畢くして険を平らかにし、予南に指通して、漢陰に達せん。可なるか。」と。
雑然りとして相許す。其の妻疑ひを献じて曰はく、「君の力を以つてしては、曾ち魁父の丘を損ずる能わず。太行・王屋を如何せん。且つ焉くにか土石を置かんとする。」と。
雑曰はく、「諸を渤海の尾、隠土の北に投ぜん。」と。
遂に子孫の荷担する者三夫を率い、石を叩き壌を墾き、箕畚もて渤海の尾に運ぶ。隣人京城氏の孀妻に遺男有り、始めて齔す。跳り往きて之を助け、寒暑節を易へ、始めて一たび反える。
河曲の智叟、笑ひて之を止めて曰はく、「甚だしきかな、汝の不恵なる。残年の余力を以つてしては、曾ち山の一毛を毀つ能はず。其れ土石を如何せん。
北山の愚公長息して曰はく、「汝が心の固なること、固に徹すべからず、曾ち孀妻の弱子に若かず。」と。
我の死すと雖も、子有りて存す。子は又孫を生み、孫は又子を生む。子に又子有り、子に又孫有り。子子孫孫、窮匱無きなり。
而るに山は加増せず。何若ぞ平らかならざらん。」と。
河曲の智叟、以つて応ふる亡し。
操蛇の神之を聞き、其の已まざるを懼るるや、之を帝に告ぐ。
帝其の誠に感じ、夸蛾氏の二子に命じて二山を負わしめ、一は朔東に厝き、一は雍南に厝く。
此れより、冀の南、漢の陰、隴断無し。

となりますが、現代文に訳すなら、

太行と王屋の二つの山は、七百里四方で非常に高い山であり、冀州の南、河陽の北にありました。

北山に九十歳近い愚公という人がいましたが、太行山と王屋山を南にして家があり、出入りで回り道をしなければならないことに悩んでいました。そこで、愚公は家族を集め「私はお前達と力を尽くして山を平らにし、予州の南を目指して通れる道路を作って道を通したいが、どうだろうか?」と言いました。家族は皆、賛成しましたが、愚公の妻が「あなたの力では、小さな丘を崩すことさえできないのに、太行や王屋のような大きな山はどうにもできないでしょう。それに、山を崩した土はどこに置くのですか?」と聞きました。それを聞いたみんなは「崩した土は渤海や隠土の北に捨てましょう。」と言いました。

そこで、愚公は息子や孫たちを連れて、石を打ち砕いて土地を切り開き、箕やもっこを使って土や石を渤海のまで運びました。愚公の隣人の未亡人に男の子がいて、歯が抜け替わるぐらいの年齢でしたが、進んで手助けに行き、季節が変わって、やっと一度家に帰るといった様子でした。

黄河のほとりに住む賢い老人が、愚公のことをあざ笑い、「ひどいね、あなたの愚かさは。短い余生では山の草一本だって取り除くことはできないだろう。あれらの土や石はどうしようないだろう。」と、作業をやめさせようとして言いました。

すると愚公は、深くため息をついて「あんたの考えの固さは、あの幼い子どもにも劣るよ。たとえ私が死んだとしても、子は残っている。その子はさらに孫を生み、孫はまた子を生む。その子にはまた子ができ、子にはまた孫ができる。子子孫孫、尽き果てることはないことはない。でも、山は大きさが増えるわけではない。いずれは、平らになる。」と言いましたが、これに対して、利口な老人は返す言葉もありませんでした。

山の神はこの話を聞いて、愚公が山を崩すのをやめないことを心配し、天帝に報告しました。天帝は愚公の信念に感心し、夸蛾氏の二人の息子に命じて、太行山と王屋山を背負わせて、一つは朔北の東部に置き、もう一つは雍州の南部に置きました。こうして、冀州の南から漢水の南側にかけて、切り立った高い山はなくなったと言われています。

といった感じになります。

「愚公山を移す」は個人的に気に入っている言葉の一つです。とてつもなく大きなことであっても「小さな積み重ねを日々根気よく続けていけば、必ずいつかはゴールにたどり着く」と信じて、前を向いて歩いて見てください。

ヒト・モノ・カネのいずれも不足しがちな零細企業であっても、諦めずに続けることで局地的になら大企業と渡り合えることもあります。希望と夢を捨てずに頑張っていきましょう。

 

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