DUAL AISAS(デュアルアイサス)とは、消費者が実際に消費行動をとるまでのプロセスをモデル化したもので、電通が主体となって組み上げた、現代という時代に即応したものとなります。
電通では2004年にこの前段となる消費行動モデル(AISAS:アイサス)を提示していましたが、考え方としては古くなってきたため、あたらしい概念を追加したものが「DUAL AISAS」です。
従来のモデルでは、消費行動は注意、興味、検索、行動、共有といった、5つの段階をもって説明できるとされていました。このモデルそのものも、1920年代にアメリカで開発された消費行動モデルの改良版であって、オリジナルのものでは注意、興味、欲求、記憶、行動という順序で消費行動がすすむものという考え方が示されていました。
しかし、それはメーカー、小売店舗が一方的に製品やサービスを売り、消費者が一方的にそれを購入する、といった時代背景に基づくものですので、現実にそぐわない部分も出てきたのです。
そこで、2004年のAISASモデルでは、検索や共有といった、あらたなキーワードがモデルのなかに組み込まれることとなりました。
すなわち、かつての時代とは違って、インターネットなどが一般にも普及しはじめた時代ですので、消費者は単に製品やサービスを消費するだけではなく、積極的に製品、サービスについてのくわしい情報を検索したり、または自らが選択した製品やサービスの価値を、広く一般に訴えかけるという行動がみられるようになったということです。
消費行動は買うという段階で止まってしまうのではなく、そこからブログやソーシャルネットワーキングサイトなどを通じて拡散し、さらなる消費行動を生み出すという環境になったと考えたのが「AISAS」モデルです。
一方、「DUAL AISAS」とは、2015年に発表された新たな消費行動モデルであって、2004年のAISASモデルを基軸としながらも、ソーシャル時代にふさわしい改良が図られたものといえます。
デュアルという名称があらわしているように、検索や共有といった、これまでの消費行動の軸に加えて、さらに起動、興味、共有、受容、拡散といった2本目の軸をもうけて、これらがクロスして消費行動全体を構成しているというイメージを提示しています。
この2本目の軸というのは、購買そのものが主役となっている従来の軸とはニュアンスが異なり、製品やサービスを消費者自らが広めるということに焦点を当てたもので、情報を広めたいという想いをもって2本目の軸に乗っていた人が、なんらかのきっかけによって買いたいという想いをもって、従来の軸に引き込まれるという消費行動プロセスになります。
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