誘導作戦〜ランチェスター戦略
ランチェスター戦略を用いることで、弱者は弱者なりの戦いが、強者は強者の戦いを展開していくことが可能になります。
具体的には、弱者は「陽動作戦」によって、手の内を強者に見せない形で作戦を実行し、攪乱させて相手の武器効率や人員を分散させることができるようになり、強者と対等に戦うことができます。しかし、強者も黙ってそれを見ているわけにはいきません。強者の場合には「誘導作戦」を用いて、陽動作戦に立ち向かうこととなります。
ランチェスター戦略の強者の五大戦略における「誘導作戦」とは、相手を強者にとって都合のいいフィールドに引きずり込むというものです。
弱者は手の内を見せないように陽動作戦を仕掛けてきますが、強者はそれで混乱しないようにします。そして、わざと弱いふりをして弱者が勝負を仕掛けたところで叩き潰すというやり方は、まさに「誘導作戦」の1つです。
「誘導作戦」の具体例として挙げられるのは、10数年前に展開された牛丼屋のシェア獲得競争です。
当時、強者だった牛丼屋がデフレを背景に牛丼の値下げを始め、先行しました。すると、他の弱者は強者の売り上げの急な伸びに驚き、こぞって牛丼の安売りに乗り出します。すると、競うように値下げが始まり、気づいてみれば牛丼が日本人にとってポピュラーな食べ物へとなっていき、最初にそれを仕掛けた強者がさらにシェアを獲得するに至りました。
残念ながら、BSE問題で思わぬ形で収束し、業界自体が混沌としてしまいましたが、シェアを獲得する際には先に仕掛け、後からついてきた勢力を利用し、そして潰すことが可能です。これは強者しかすることはできず、弱者が強者を追いかけてきた時点で、この「誘導作戦」は成功したと言えます。
過去のブームのいくつかは、まさにこの「誘導作戦」で作られてきました。
家庭用ゲーム機などもまさに「誘導作戦」の象徴のような具体例であり、1つの家庭用ゲーム機の登場で多くの会社が開発に乗り出したものの、結局は最初に作ったところが先行し、今に至ります。他社にマネをさせることはある意味で危険にも思えますが、絶対的なノウハウは強者が握り続けている以上、あえて弱者にマネをさせてブームを起こしていくことが強者の戦略としては重要です。
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