労働政策審議会とは、厚生労働省設置法第9条に基づいて労働政策の審議、調査などを行う審議会です。
労働政策審議会の設置については、厚生労働大臣の諮問によって行われ、厚生労働省の管轄下となります。労働政策審議会は「労政審」とも呼ばれ、審議が必要な労働政策について詳細な調査などを実施することで、より有用な労働政策が実施されます。
労働政策審議会は、かつて中央職業安定審議会や中央労働基準審議会を始めとした13の審議会に分かれていましたが、2001年、厚生労働省設置法第6条第1項によって統合され、新たに設置されました。
労働政策審議会は、労働政策の制定などに大きな影響力を持っており、政権への影響力も少なくありません。政権が掲げる労働政策は一般的に労働政策審議会によって審議され、その政策の有用性の有無や、実際にどれほどの労働政策が反映されるのかといった細部が決定されます。また、国内における最低賃金についても労働政策審議会が審議を行っており、政府は審査された内容を実際に反映させる必要があります。
労働政策審議会は、日本国内の労働状況に影響力を持つことから、審議会は分科会と部会に分かれて審議を行います。
分科会は7、部会は11となっており、それぞれに担当が異なります。11の部会の大元となる分科会は、雇用均等分科会、障害者雇用分科会、勤労者生活分科会、労働条件分科会、安全衛生分科会、職業安定分科会、職業能力開発分科会の7つです。これに労災保険部会や最低賃金部会、有期雇用特別部会、じん肺部会を始めとし、中小企業退職金共済部会、雇用対策基本問題部会、雇用保険部会、労働力需給制度部会、高年齢者有期雇用特別部会、家内労働部会の11の部会がそれぞれ属します。
部会に属する委員は厚生労働大臣の認定によるもので、公益の代表者、労働者の代表者、使用者の代表者と3つの区分から選出されます。それぞれの代表者は10名ずつとされ、人気については2年を基本としています。これは国際労働機関によって定められた公労使三者構成の原則に沿うもので、政権への影響や社会生活への影響などを鑑み、出来る限り公正な委員選出を目指すものとなっています。
一方で労働政策審議会の委員としての選出を受けるのは、社会的に力のある人や、企業の役員、正社員などに偏っているのが現状です。高齢化や働き方の変化によって多様化する社会の中で、この労働政策審議会自体の在り方を巡り、政府は有識者会議の設置なども検討しています。