近年、第三次産業の拡大や技術革新などにより、世の中が変動してきており労働時間の算定が困難な業務や、研究開発、放送番組の企画などの業務はその性質上、業務の具体的な遂行については労働者本人の裁量に委ねる必要があるため、使用者の具体的な指示になじまず、通常方法の労働時間の算定が適切でない仕事が増えてきています。
そのような環境で増えてきた裁量労働制とは、みなし労働時間制の一種であり、細かく分けると「専門業務型裁量労働制」と「企画業務型裁量労働制」があります。
専門業務型裁量労働制
専門業務型裁量労働制とは、新聞記者や放送番組制作プロデューサーやディレクター、新商品新技術の研究開発等研究者やデザイナー、公認会計士や弁護士、建築士等、厚生労働省令で定められる業務のみが対象となります。
使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、この労使協定を労働基準監督署長に届け出なければなりません。
この労使協定事項として、まず1日あたりの対象業務に従事する労働者の労働時間として算定される時間を決めます。対象業務の手段や時間配分等の具体的指示をしないこと、労働者の労働時間の状況に応じた、労働者の健康福祉を確保するための措置を使用者が講ずること、労働者からの苦情処理に関する措置を使用者が講ずること、これらの労働者ごとの記録を協定の有効期間中及び有効期間満了後3年間保存することなどが必要となってきます。
企画業務型裁量労働制
企画業務型裁量労働制は、労使委員会が設置された事業場において、その委員会における委員の5分の4以上の多数による議決があり、かつその決議を所轄労働基準監督署長に届け出た場合において、その決議に定める時間労働したものとみなします。
対象業務は、事業の運営に関する事項であり企画立案調査及び分析等の業務であって、業務の性質上これを適切に遂行するためには大部分を労働者の裁量に委ねる必要があるため、業務の遂行の手段や時間配分等の決定に対し使用者が具体的な指示をしないこととする業務です。
対象業務を適切に遂行する知識経験等を有する労働者のみが対象となりますので、新卒の新人などは対象外となります。
使用者が、厚生労働省令の定めるところにより、当該決議を届け出た場合において、対象労働者を対象業務につかせた場合、その決議に決めた時間労働したものとみなすことになります。
また、使用者は、その後も定期的に労働時間の状況や労働者の健康福祉を確保するための措置を所管労働基準監督署長に報告しなければなりません。