ADRとは、Alternative(代替的)、Dispute(紛争)、Resolution(解決)と言う3つの単語の頭文字を取った言葉で、日本語では「裁判外紛争解決手続き」と訳されます。また、「代替的紛争解決手続」と訳される場合も有りますが、どちらも同じADRを表している言葉です。
ADRは斡旋・調停・仲裁の3つの方法に分かれています。
まず斡旋は、問題解決において当事者同士が交渉する事によって解決を図る事を目的として行います。
勿論当事者だけで何とかしようとするのではなく、その間に斡旋人が入り、同時者同士の話し合いを進めて解決に導いていきます。斡旋人が時には問題解決案を提示する場合も有りますが、その場合も拒否する事が出来るようになっています。ADRにおける「斡旋」は、あくまでも解決を図る上での一つの方法と言う位置づけになっています。
仲裁は、仲裁する事を事前に当事者同士が同意した場合、仲裁人が解決内容を判断する事になっています。
仲裁人が判断した内容については通常の裁判の判決と同じ効力があり、当事者はその内容に対して拒否する事もできません。また通常の裁判の様に控訴・上告する事も出来ず、判断が出た時点で問題解決、と言う事になります。
この様なADR(裁判外紛争解決手続き)ですが、実際には行うメリットと言うのもいくつかあります。
ADRのメリットの一つは、手続きが簡便で臨機応変に処理をする事が出来るので、問題解決までの時間が短い、と言う事です。
実際に裁判等を起こす場合、判決が出るまでに半年から2年程度の時間を要する場合も有りますが、ADRであれば3ヶ月程度を目安として解決を図る事が出来ます。
勿論ADR自体は強制的な判断がされるとは限らず、実際には当事者同士の話し合いを中心とした解決法ですが、ただ話し合いをするだけでなく法的な妥当性も確保されている為、バランスの良い解決法と言えます。
さらに経済的な負担を訴訟に比べると少ないので、より利用しやすくなっていると言うのもADRのメリットです。また、ADRの手続き自体は後悔される事は無く非公開で行われるので、争っている内容を知られたくないと言う時にも利用するメリットは十分あります。
ただ、実際に問題を解決する上でメインとなっている方法は裁判であり、なかなかADRについて知らない人も少なくありません。その為、平成19年4月1日にはADR促進法が施行され、ADRを裁判と同じ様に問題解決を図る為の選択肢となることを目標としています。