テロ準備罪法案に見る〜マスコミの偏向報道

雑感コラム

テロ準備罪法案に見る〜マスコミの偏向報道組織犯罪処罰法改正案(以下、テロ準備罪法案)について、今国会での成立に向け、与党では衆院本会議での審議入りを目指すことで一致しました。テロ準備罪法案はマスコミの注目度も高く、思想的な色合いが出やすい事案ですので、報道の偏向具合がわかりやすいと考え、新聞各紙・テレビ各局の報道について見出しと本文をまとめてみました。

記事の後半で表で比較してみますが、事実を正しく伝えているメディアは一体どこだったのでしょうか?

テロ準備罪法案についての新聞報道

読売新聞:テロ準備罪法案、6日の審議入りで自公が合意
自民党の竹下亘、公明党の大口善徳両国会対策委員長は3日午前、国会内で会談し、組織犯罪処罰法改正案(テロ準備罪法案)について、6日の衆院本会議での審議入りを目指すことで一致した。

朝日新聞:「共謀罪」法案、6日に衆院で審議入り 自公が合意
自民、公明両党は3日、犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織的犯罪処罰法改正案について、6日に衆院で審議入りすることを正式に決めた。3日午前、両党の国会対策委員長が国会内で会談し、合意した。

毎日新聞:共謀罪 6日審議入り 自公合意 野党、廃案迫る構え
自民党の竹下亘、公明党の大口善徳両国対委員長は3日午前、国会内で会談し、「共謀罪」の構成要件を改め「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案を6日の衆院本会議で審議入りさせることで合意した。政府・与党は3日昼の会合で、今国会での成立を目指す方針を確認した。民進党など野党4党は廃案を迫る構えで、同法案の審議は後半国会の焦点になる。

日経新聞:「共謀罪」法案、6日審議入りへ 自公国対委員長が合意
自民党の竹下亘、公明党の大口善徳両国会対策委員長は3日午前、国会内で会談し、犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の構成要件を改め「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案について、6日の衆院本会議での審議入りを目指すことで合意した。今国会中の成立をめざす。

産経新聞:【テロ等準備罪】自民、公明両党、テロ等準備罪法案の6日審議入りで合意
自民党の竹下亘、公明党の大口善徳両国対委員長は3日午前、国会内で会談し、共謀罪の構成要件を厳格化した「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案について、6日の衆院本会議で審議入りさせることで合意した。今国会中の成立を目指す。

東京新聞:「共謀罪」6日審議入り 自民、公明を押し切る
自民、公明両党は三日午前、両党の国対委員長が国会内で会談し、「共謀罪」の趣旨を含む組織犯罪処罰法改正案を六日の衆院本会議で審議入りさせることで合意した。公明党は、性犯罪を厳罰化する刑法改正案を先に審議するよう求めていたが、自民党が「共謀罪」法案を刑法改正案より優先するよう強く求め、押し切った。

 

テロ準備罪法案についてのテレビ報道

NHK:「テロ等準備罪」新設法案 自公6日審議入りで合意
自民・公明両党の国会対策委員長が会談し、「共謀罪」の構成要件を改めて「テロ等準備罪」を新設する法案を、今週6日に衆議院で審議入りさせるとともに、公明党が早期の審議入りを求めていた民法の改正案などを今の国会で成立させる方針を確認しました。

日本テレビ:“共謀罪”法案、6日審議入りで合意
後半国会の焦点の共謀罪の趣旨を盛り込んだ「組織犯罪処罰法改正案」について自民・公明両党は、6日に審議入りする事で合意した。実質審議入りは遅れる事になるが、自民党側は今国会での法案成立は「十分可能」としている。ただ、野党4党は徹底抗戦の構え。

TBSテレビ:“共謀罪”新設法案、自公6日審議入りで合意
「共謀罪」の構成要件を厳しくした「テロ等準備罪」を新設する法案の審議日程をめぐり、自民・公明両党の調整が難航していましたが、3日午前、6日に審議入りすることでようやく合意しました。
テロ等準備罪を新設する法案をめぐっては、今週6日に審議入りしたい自民党に対し、公明党は民法や刑法の改正案を優先すべきだとして、折り合いがつかない状況が続いていました。

 

テレビ朝日:“共謀罪”審議入りへ 難色の「公明党さんも容認」
後半国会の最大の焦点となる、いわゆる「共謀罪」を新設する法案について、与党は6日に審議入りすることで合意しました。
自民党・竹下国対委員長:「テロ等準備罪は今月6日、審議入り。公明党さんも容認をするという形で決着をさせて頂いた」
この法案の審議入りを巡っては、公明党が性犯罪の厳罰化を盛り込んだ刑法改正案を先に審議すべきだと主張し、調整が難航していました。与党は刑法改正案も今の国会で成立させることを確認しました。公明党も6日の審議入りを容認しました。

フジテレビ:テロ等準備罪 6日審議入りで自公合意
後半国会の焦点である「テロ等準備罪」を新設する法案について、自民党と公明党の国会対策委員長が3日朝に会談し、6日に審議入りすることで合意した。

自民党の竹下国対委員長は、「6日に、テロ等準備罪に入りたいという思いだ。何が何でもやるんだという決断だ」と述べた。
この法案をめぐっては、早期の成立を目指す政府・自民党に対し、公明党は、民法の改正案や刑法改正案を先に審議するよう求め、調整が続いていた。

新聞・テレビの報道を見ると、テロ準備罪法案について、メディアによって「“共謀罪”法案」「テロ等準備罪法案」といった大きく2つの呼び方があることがわかります。

ちなみに「テロ等準備罪法案」もしくは「組織犯罪処罰法改正案」が正しい名称で、「“共謀罪”法案」は実際の名称とは異なって正確性を欠く呼び方で、いわゆる世論誘導を狙った“レッテル貼り”と言えるかもしれません。

こういった観点で新聞・テレビ報道を観察すると、マスメディアの“偏向報道”ぶりが見て取れます。見出しと本文における「テロ準備罪法案」についての呼称をまとめてみましたのでご覧ください。
(表中で正しい表記をしている部分は「水色」で、正確性を欠く表記をしている部分は「ピンク色」で塗っています)

見出し 本文
読売新聞 テロ準備罪法案 組織犯罪処罰法改正案(テロ準備罪法案)
朝日新聞 「共謀罪」法案 「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織的犯罪処罰法改正案
毎日新聞 共謀罪 「共謀罪」の構成要件を改め「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案
日経新聞 「共謀罪」法案 「共謀罪」の構成要件を改め「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案
産経新聞 テロ等準備罪 共謀罪の構成要件を厳格化した「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案
東京新聞 「共謀罪」 「共謀罪」の趣旨を含む組織犯罪処罰法改正案
見出し 本文
NHK 「テロ等準備罪」新設法案 「共謀罪」の構成要件を改めて「テロ等準備罪」を新設する法案
日本テレビ “共謀罪”法案 共謀罪の趣旨を盛り込んだ「組織犯罪処罰法改正案」
テレビ朝日 “共謀罪” いわゆる「共謀罪」を新設する法案
TBS “共謀罪”新設法案 「共謀罪」の構成要件を厳しくした「テロ等準備罪」を新設する法案
フジテレビ テロ等準備罪 「テロ等準備罪」を新設する法案

ということで、この法案について、見出し・本文とも正しい名称で伝えているメディアは、

新聞なら「読売新聞」「産経新聞」

テレビなら「NHK」「フジテレビ」

と少数派でした。ほとんどのマスメディアは見出しでミスリードさせるような報道をし、本文でかろうじて正しい内容を含めるといった状況で、テレビ朝日に至っては、与党の発言の形でしか正確な名称は伝えていません。

真実を読者や視聴者に伝えるのがメディアの使命だと思いますが、いつからかメディア自体が思想信条を持ち、その思想信条に基づきバイアスの掛かった“報道”を行うようになってしまいました。情報源がマスメディアしかなかった時代であれば誰にも気づかれず世論をミスリードできたかもしれませんが、現在ではインターネットを中心に、大衆が誰でも正しい情報を知ることができる時代です。

若い人を中心に「新聞離れ」「テレビ離れ」といったマスメディア離れが報じられていますが、「報道の自由」の履き違えにマスメディア自身が気づかない限り新聞・テレビの地盤沈下はさらに進んでいくでしょう。

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