ジュグラーの波とは
景気に波があることは、よく知られています。一般的に、景気の波には、設備投資・在庫・技術革新が影響しているとされています。
景気循環は、消費や生産などのマクロ経済が活発になったり、停滞したりすることが周期的に繰り返される状態です。景気循環は景気変動とも呼ばれており、資本主義経済特有のものです。
景気の周期の要因は様々ですが、代表的な景気循環は4つあり、その一つが「ジュグラーの波」です。
「ジュグラーの波」とは、企業の設備投資の循環に伴う景気変動で、だいたい10年くらいの周期とされています。設備を新しくした場合の需要によって、景気の変動が起こるもので、フランスの経済学者ジュグラーが19世紀の後半に提唱していたことから彼の名が付いています。ジュグラーの考えは、あらゆる経済指標の動きを分析したもので、現在でもその分析方法は高く評価されています。
第二次世界大戦前は、この「ジュグラーの波」が景気循環の代名詞と言われていました。ジュグラーの波の周期サイクルは、カール・マルクスも認めていたもので、設備投資が持つ波及効果から、現代のビジネスでも重要視されることが多い景気の波です。
その他の景気の波についても簡単に触れておきましょう。
4つの中で、最も短い循環が「キチンの波」です。企業の在庫調整による生産の拡大や、縮小による景気の波と言われており、約40か月くらいとされています。短期変動なので、小循環とも呼ばれています。
「クズネッツの波」は、15年から25年周期の景気循環で、特にアメリカで顕著に観察されています。住宅や工場、商業施設の建て替えによる景気変動であるため、建築循環と呼ばれることもあります。15年から25年と言う周期は、人間が成長する区切りの周期でもあるため、人口受動態による景気循環とも言われています。
アメリカの場合、移民などによる人口の増加によって、住宅建設投資が増え、景気の拡大が生じます。そして、アメリカに移民した人の子供が独立する頃になると、再び住宅建設が活発になります。このような状況の繰り返しにより、景気循環が生じるのです。「クズネッツの波」は、アメリカの経済学者であったクズネッツがGNPの成長率を調べている過程で見つけたものです。
4つの循環の中で、最も長い循環が、「コンドラチェフの波」です。コンドラチェフの波は50年に1度の景気循環であり、技術革新による景気変動とも言われます。コンドラチェフの波は、旧ソ連の経済学者であったコンドラチェフが発表したことから彼の名が付いています。コンドラチェフの波の発生原因は、鉄道や自動車の普及、新製品の開発にあると考えられています。