敵の敵は味方
「敵の敵は味方」とは、元々は水と油の者同士が、共通の敵の為になりふり構わず手を組むことを指します。
敵を倒す目的の為には、使えるものは何でも使うべきで、正しい方法だと語る人もいますが、私が見る限り、過去「敵の敵は味方」の考えで行動して上手くいったケースを見たことがありません。
個人的にも「敵の敵は味方」の行動をとる人は、節操がなく、信義がないように見えますし、そういう相手に対して敬意や信頼感は湧きません。
「敵の敵は味方」の考えでは、単に敵を倒すという目的になってしまい、それでは大義がなく、求心力も生まないということなのだと思います。
そういう意味では「敵の敵は味方」は、策として「下の下」のように思えるのですが、最近、民進党と朝日新聞は、この「敵の敵は味方」が好きなようです。実際に、私が「敵の敵は味方」と感じた例を挙げてみましょう。
例えば、2017年の2月下旬から3月に話題となった森友学園の籠池元理事長。
元々は、思想的にリベラルの朝日新聞や民進党と、右翼的な思想の籠池氏は相容れないはずですが、国会での籠池氏の証人喚問が決まって以降は、お互いに急接近し、ノンフィクション作家の菅野氏も含めて、様々な情報を籠池氏が朝日新聞&民進党にリークするという奇妙な「敵の敵は味方」現象が見られました。
結局、森友学園は建設中だった小学校の代金を踏み倒したまま破産(民事再生法の適用を申請)し、籠池氏は補助金不正受給の詐欺容疑で告訴されることになり、怪しい “敵の敵” を味方にした格好になってしまいました。
そしてさらに、5月に入って話題となった加計学園の獣医学部新設で出てきたのが、前川喜平 前文部科学事務次官です。
前川 前事務次官は、文科省の天下り問題に際し、OBの天下り斡旋に直接関与しただけでなく、問題発覚後は証拠の隠蔽を図って、引責辞任となった人です。
本来、官僚の天下り問題は、民進党も朝日新聞も追求していた側であったはずが、この前川氏が朝日新聞や民進党に “文書” を持ち込み、その “文書” を以って政権を追求するという、これまた奇妙な「敵の敵は味方」現象となってしまいました。
その後、前川 前事務次官が出会いバーに頻繁に通っていたと読売新聞にスクープされてしまい、天下り斡旋と買春疑惑の当事者を朝日新聞と民進党は「味方」にすることになりました。
普通の感覚であれば、怪しいと思う人と「敵の敵は味方」の状態にはならないはずですが、朝日新聞も民進党もよほど追い込まれているのか、森本学園問題や加計学園の獣医学部新設の件で「下の下」の選択をしてしまったと言えるでしょう。
目の前に疑惑があった場合、本来、真実を明らかにしようとするのがマスコミや政党の役目だと思いますが、朝日新聞や民進党のように「敵の敵は味方」を地で行けば、目的が「真実を明らかにする」ことではなく「安倍首相にダメージを与える」ことにあると、国民に見透かされることになります。