連邦準備制度とは
連邦準備制度とは、アメリカでの中央銀行制度をすべて包括して指す総称といえます。連邦準備制度は、1913年の連邦準備法により創設されたアメリカ独特の制度です。英語ではFederal Reserve Systemと表記され、その頭文字をとって「FRS」と略されて報道されることもあります。
連邦準備制度は、任期が14年の7名の専任理事で構成されており、いくつかの理事会・委員会があります。
金融政策を立てたり遂行を見守る、あるいは大きな経済変動を起こすような出来事などがある場合には、対応の中枢となる連邦準備制度理事会が中核にあり、地方の12の連邦準備銀行、公開市場政策を担当する連邦公開市場委員会(FOMC)、連邦準備銀行の代表により構成されて政策形成に助言する連邦諮問員会から構成されています。
連邦準備制度とは、日本でいえば日本銀行に相当するものと考えると最もわかりやすいのではないでしょうか。
日本銀行の総裁があるのと同様に、連邦準備制度のと中心となる連邦準備制度理事会の議長がその最高責任者となります。議長のほか、副議長や理事は大統領が、上院の助言などを考慮し同意を得た上で任命する仕組みになっています。
連邦準備制度理事会の議長の任期は4年ですが、経済政策の継続性などを考慮し、再選されることが多く、現在のイエレン議長までに15名の議長が代々その重責を担ってきました。
では、連邦準備制度のそれぞれの仕事について見てみましょう。
まずは、連邦準備制度理事会ですが、最も重要な統括組織として機能しています。金融政策を策定したり、それを実施することが最大の仕事です。政府機関の一つではありますが高い独立性を維持しており、政治に影響されない金融政策が実施できるようになっています。特に議長はアメリカ経済のかじ取り役となるわけですから、絶大な影響力を持ち、大統領に次ぐ権力者と考える人も少なくありません。
連邦公開市場委員会(FOMC)は連邦準備制度理事会が定期的に開く会合で、金利の誘導目標などの話し合いや、急激な変化に対応するための声明を出すなどの仕事を行います。FOMCの声明は世界で最も注目される声明の一つであり、市場の予想に反した声明が出されると、一気に為替が変動したりするなど世界経済に大きな影響を与えます。
連邦準備銀行は一般の銀行の規制や監督を行い連邦準備券、いわゆるドルの発行などを行っています。連邦準備制度に加盟する一般の銀行による出資によって成り立っていて、それぞれの資本金に応じて出資率が異なりますが、議決権は1銀行に1議決権であるため、大銀行に偏った運営とならないような工夫も行われています。