大学設置審議会とは
大学設置審議会とは、新たな大学や学部の新設、あるいは大学院などを作ろうとする場合に妥当かどうかを審議する場です。
大学や大学院は、勝手に作りたい人が作れるのではなく、文部科学大臣に申請し、大臣の諮問機関である大学設置・学校法人審議会に本当にその大学や大学院が必要なのか、あるいは申請した法人の経営状態などが適切であるのかなどが審議され、すべて問題なく適切な場合にのみ認可されます。
大学設置審議会には「大学設置分科会」と「学校法人分科会」が置かれています。
それぞれの分科会では役割が分担されています。大学設置分科会では設置しようとする大学や学部に関して、その設立の趣旨や教育理念カリキュラムや教員の配置や人数、さらに校舎やコンピューターなどの設備などについて適切かどうかが、学校教育法という法律に基づいて審議されます。
一方、学校法人分科会とは私立学校法及び私立学校振興助成法により、設立しようとしている学校法人などの設立団体の財政状態や管理運営など法人としてその団体に問題がないかなどのついての審議が行われる場となっています。審議をする審議委員は文部科学大臣によって任命されますが、学識経験者や学校法人の理事など教育に精通している人物を中心に任命され、任期は2年で再任も可能となっています。
大学や新しい学部を作るためには、最初にその学部などを作るための準備、さらに申請してからのこれらの審議、認可までに非常に多くの労力と時間が必要です。
では、なぜこのように厳格な審査を行う必要があるのでしょうか?
日本では、今後、少子高齢化がさらに進行していくことが確実視されており、無尽蔵に大学や学部が増加してしまえばそれぞれの学校法人などの経営破たん、あるいはその学部から排出される卒業生が資格は取れたとしても、仕事がないという矛盾を生んでしまいかねません。ですから、現在の日本の置かれている産業構造や今後の人口、それぞれの専門職や有資格者の数がどのように変化していくか、また、その人たちがどのくらいの割合でその資格を用いて仕事をしていくのかなどを予測して、本当に必要なものなのかどうかの十分な吟味が必要とされているわけです。
また、これらの教育機関には多額の補助金が支給されています。少子高齢化が進み税収も少なくなっていくことが予想される中で、これらの補助金が不当な使われ方をすることは日本経済や財政に悪影響を及ぼしてきます。
このような観点から、大学設置審議会による厳格な審議を経て、認可されるようになっているのです。