殷鑑遠からず(いんかんとおからず)
古来より、人は自らの教訓を言葉で残し、古人の知恵や経験を「故事成語・ことわざ」として現代に伝えてきました。
その中から、時を超えて、人生に様々な示唆を与えてくれる「故事成語・ことわざ」を独断と偏見で選んでみました。きっとビジネスだけでなく、人生においても参考になるでしょう。
今回選んだのは、
「殷鑑遠からず(いんかんとおからず)」
という中国の古書「詩経」にある故事成語です。
「殷鑑遠からず」とは
「殷鑑遠からず」とは、
「戒めとする前例はすぐ近くにあり、身近な他者の失敗を自分の戒めとすべきである」という意味です。
古代中国 殷王朝の紂王は、日々酒池肉林の生活を送り、民には重税を課して苦しめていましたが、その紂王に対し、重臣だった西伯昌が「殷鑑遠からず夏后の世にあり(殷が鏡とすべき手本は、遠い時代に求めなくても前代 夏王朝の桀王の治世にある)」と諌めた故事に「殷鑑遠からず」は由来しています。
「殷鑑遠からず」と紂王を諌めた後、西伯昌は追放されその後亡くなりますが、その子(武王)が諸侯を糾合して殷を破り、周王朝を興すことになります。ちなみに、西伯昌は周の文王と諡(おくりな)されて歴史に名を残しています。
自らの失敗から学び、判断材料に使うことは、とても大切です。しかし、今の現状や新たな課題の解決に際して、自らの経験だけに頼って判断するのには不足があります。「殷鑑遠からず」のように、身近な他者の失敗は至るところに転がっています。我々は、そういった身近な失敗からも教訓を学び、同じような失敗をしないよう心掛けなければなりません。