ALS患者が参考人出席できず~SNSで誤情報の発信源にならない為に

報道されない話

ALS患者が参考人出席できず~SNSで誤情報の発信源にならない為にFacebookを見ていたらと、「【報ステ】ALS患者が参考人出席できず」というテレビ朝日のネットニュースがタイムライン上に流れてきました。

実は、この件ではいくつかのニュースヘッドラインをその時までに 2~3度目にしていたのですが、記憶では「与党が出席に反対した為に ALS患者が審議に出席できなかった」という論調だった気がして、詳しくネット検索をして調べていると、「障害者支援法:審議に ALS患者の出席拒否 与党が反対」といった記事が見つかりました。

「当初、野党側が出席を求めたものの、委員会の(与野党の)理事がコミュニケーション上の不安を指摘し、出席を見送った」報道もあれば、「関係者によると、民進党が男性の出席を要求したが、与党側が反対した」報道もあったので、さらに調べていくと、

前代未聞の障害者差別が国会で起こるとは!障害者差別をなくす先頭に立つべきなのが国会です。ALS患者の参考人出席に反対した与党は猛省すべき、と、私は記者会見で述べました。

~民進党の山井和則 衆議院議員のツイッターより

という情報やら、

事実と違いますね。理事会でも委員長一任となり、渡辺委員長が了としました。その後に参考人を差し替えたのは民進党自身。仮にですが、意図的にこの様な報道を狙っての事なら許されない。
障害者支援法:審議にALS患者の出席拒否 与党が反対

~おおさか維新の会の浦野靖人 衆議院議員のツイッターより

というものもありました。

関係者の情報をまとめると、衆院厚生労働委員会において、

  • 民進党理事よりALS患者(ALS協会副会長の岡部氏)の参考人招致について理事会に諮る
  • 与党理事から「当事者の意見を直接聞くことも大事だが、参考人質疑の限られた時間やルールを考慮して協会の意見をしっかりやり取りしていただける方の出席が望ましい。厚生労働委員会で協会へ視察に行くのではどうか」という趣旨の意見があった
  • 民進党・共産党理事から「質問の仕方や時間配分を工夫して実現すべき」という趣旨の意見があった
  • おおさか維新の会理事から「厚生労働委員会だからこそ出席を許可すべき」という趣旨の意見があった
  • 最後は、厚生労働委員会の渡辺委員長(自民党)一任となり、野党の意見通り ALS患者の審議出席を認めるということで決定
  • 4/30の時点で渡辺委員長から ALS協会副会長の岡部氏へ参考人出席依頼の文書を発出
  • 5/2の時点で「参考人を変更したい」と民進党理事から与党理事へ伝える(この時点で、民進党理事は共産党・おおさか維新の会の理事へは伝えず)
  • 参考人質疑当日の朝、民進党理事からは「止むを得ず協会さんに頭を下げて変わってもらった」と理事会で発言

といった事実関係のようです。
民進党の山井議員が自らのツイートを削除していますので、おそらく誤った情報だったのでしょう。それにしても “誤った情報” をもとに記者会見をしてしまうとは・・・。

今回の「ALS患者が参考人出席できなかった」件は、ネットニュースを配信するマスコミが、意図的に政治的な狙いを持っていたのか、取材でちゃんと裏取りをしなかった単なるミスなのか、わかりませんが、大手報道機関ですら誤った情報を発信してくる時代です。特に政治、原発、健康絡みのニュースでは、真偽不明で魑魅魍魎の様々な情報が SNS を中心にしたネット上を飛び交っています。

SNS ではシェアすることで、いい意味でも悪い意味でも情報を拡散してしまいます。そういう意味では、SNS を使う人の真贋を見極める目が問われると言って良いでしょう。

必要以上に怖がる必要はありませんが、ネット上で見かけた情報を鵜呑みにせず、しっかりと ソースを確認し、自分の常識と照らし合わせることで、自分の “友達” に誤った情報を拡散しないようにしたいものです。