タイの保養地ホアヒンにおいて海外研修中の社員一同が全裸で騒ぐ “事件” を起こしたDYM社。その様子が報道され、ネットを中心にバッシングを受けました。いわゆる「ネット炎上」です。
一度ネット炎上してしまうと、過去の発言など様々な情報がネット上から発掘されていきます。そして、発掘された過去の情報を元にさらに炎上は拡大します。ネット炎上事案では、いかにこうした “類焼” を防ぐかがポイントになってきます。
炎上を早期に収束させるには、
- 非を認めること
- 素直に謝ること
- 当該人や監督責任者が相応の処罰を受けること
を早い段階で対処することが重要です。
DYM社の場合、初動対応は若干遅れましたが、社長名で謝罪のプレスリリースを出すことで事態は一応の鎮静化を見ました。
事態は沈静化したものの一度ネット炎上したことにより、DYM社にとってネガティブ情報を持つ数多くのコンテンツが生み出され、社名検索などDYM社絡みのキーワード検索を行うとこういったネガティブ情報を持つコンテンツがかなりの比率で上位表示されるようになってしまいました。
このことは、DYM社にとって大きな負担になっていたと思います。「人の噂も七十五日」と言われるように、悪評が経ってもその内人々の記憶から忘れられていくものですが、ネット上には忘れられることなくDYM社のスキャンダルが残ってしまうわけです。
例えば、人材募集をする場合、新規に取引をする場合など、様々なケースで社名関連キーワードの検索がなされます。その度に、採用に応募を考えたり、取引について考えていた人達が「あー、DYMってタイの全裸事件を起こした会社なのか」と、記憶を引き戻してしまいます。このままでは「まずい」とDYM社幹部が考えただろうことは想像に難くありません。
実は、DYM社が提供しているサービスの一つに「SEO対策」「誹謗中傷・風評被害対策」があります。
「誹謗中傷・風評被害対策」とは、ネット上にある自分にとって不都合な情報を消すサービスです。身に覚えのないことでネット上に誹謗中傷を書き込まれることは実は結構あるのですが、そういった時に事実と違う内容をネット上から消す為に「誹謗中傷・風評被害対策」のサービスはあります。
当然ながら DYM社は「誹謗中傷・風評被害対策」として、ネガティブ情報をネット上から消すノウハウを持っていたのですが、そのノウハウを DYM社は自社に対するネガティブ情報を消すために使ってしまいました。
「誹謗中傷・風評被害対策」には、いくつか方法がありますが、DYM社が採ったのは“著作権侵害” 名目での「DMCA手続き」と「訴訟」でした。「DMCA手続き」により、Googleのインデックスから邪魔なコンテンツを削除し、「DMCA手続き」では無理そうなコンテンツは、サイト管理者に対し裁判に訴えることを匂わせて自主的に削除させるという二段構えの方法だったと思われます。
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つまり、DYM社は邪魔になるサイトを消し去ることで炎上状態を “鎮火” させようとした わけです。
タイでのスキャンダル発生から 1ヶ月が経過した頃には、一部まとめサイトを中心に検索結果から排除することに一応成功していました。