エムネットとは
緊迫した国際情勢の中で、テレビや新聞といったメディアから聞かれることが多くなったのが「エムネット」と「Jアラート」です。
エムネットとは、国と地方自治体を結ぶ、LGWANと呼ばれる総合行政ネットワークの回線を利用し、国と地方自治体の間で、緊急情報に関する双方向の通信を可能としたシステムのことです。
エムネットは、一般市民が使用できる通常のインターネットからは完全に隔離された、閉域のネットワークになっています。エムネットへの接続権限が認められるのは、国や地方公共団体、公共交通機関や報道機関などで、内閣府や総務省、厚生労働省、法務省といった国の各省庁間で利用されている政府共通ネットワークとも相互間の接続が可能なネットワークです。
2004年に成立した有事法制に基づいた運用がされており、2006年から、本格的な導入に向けて、整備が進められました。
エムネットと同様に緊急情報を取り扱う、ネットワークシステムの一つである「Jアラート」は、通信衛星や、漁業協同組合、農業協同組合、市町村などに設置されている有線放送電話、市町村における防災行政無線などの回線を使用して緊急情報を提供するシステムのことで、「全国瞬時警報システム」とも呼ばれます。
Jアラートは、2004年から、総務省消防庁が開発や整備を進め、2007年からは一部地域で、正式に運用を開始しました。Jアラートの運用には、防災行政無線が必要不可欠であり、防災行政無線の普及が進んでいない地域においては、運用が難しく、システムの導入にかかる費用が高額であるため、防災行政無線の普及率の拡大に向けた取り組みが進められています。
エムネットとJアラートとの違いは、大きく分類すると4つあります。
まず一つ目は、緊急情報を配信する際に用いる回線です。エムネットが総合行政ネットワークを使用するのに対し、Jアラートは、通信衛星や有線放送電話、防災行政無線などの回線を利用します。
二つ目は、緊急情報伝達時の形式です。エムネットでは、パソコンの電子メールとアラーム音での周知が行われ、Jアラートでは、有線放送電話や防災行政無線が自動的に起動した上で、緊急情報が提供されます。
三つ目は、通信の形態です。エムネットは、双方向通信が可能な回線ですが、Jアラートは、緊急情報を伝達する際の一方向の通信のみできるシステムとなっています。
四つ目は、導入費用です。エムネットは、パソコンにエムネット専用のソフトをインストールするだけで、システムの利用が可能となりますが、Jアラートは、防災行政無線などの設置費用が必要です。