「辞世の句」とは、人が死の間際に詠む漢詩・和歌・俳句などのことです。自分の人生を振り返り、この世に最後に残す言葉として、様々な教訓を私たちに与えてくれるといって良いでしょう。
古来より数えきれない辞世の句が残されてきましたが、今回は、安国寺恵瓊(あんこくじ えけい)の最後の言葉として、安国寺恵瓊の辞世の句を紹介してみることにします。
安国寺恵瓊の最後
安国寺恵瓊は、戦国武将 毛利氏に仕え、渉外活動を行なった外交僧です。その後、本能寺の変で織田信長が亡くなった時、毛利方として羽柴秀吉との和睦を取りまとめて、秀吉の近習並びに大名として活躍しましたが、天下分け目の戦いとなった関ヶ原の戦いで敗れ、1600年11月6日斬首されました。享年は61歳前後であったと言われています。
そんな安国寺恵瓊の辞世の句と言われているのが以下の句(漢詩)です。
安国寺恵瓊 辞世の句
「清風払明月 明月払清風(清風は明月を払い、明月は清風を払う)」
この歌を現代文に訳すなら、
清らかな風が明月を払い清め、清らかな風もまた明月の光に払い清められる
といったところで「迷いや執着のない清々しい気持ち」を表わしています。
死を前にした時、彼の頭の中を去来したのはなんだったのでしょう。この安国寺恵瓊の最後の言葉である辞世の句は、皆さんの心にどう響きましたか?