目次
釜底抽薪(ふていちゅうしん)〜 兵法三十六計
兵法三十六計とは、中国の三国時代以降に生まれた兵法書で、宋の名将 檀道済がまとめたと言われています。
そして「兵法三十六計」に書かれた故事や教訓は、単なる兵法ではなく処世術としても活用され、広く知られるようになっています。そういった意味では「兵法三十六計」を知ることで、現代の人たちにとっても人生の参考になるのではないでしょうか。
今回選んだのは、兵法三十六計の第十九計
「釜底抽薪(ふていちゅうしん)」
です。
「釜底抽薪(ふていちゅうしん)」とは
「釜底抽薪(ふていちゅうしん)」とは、
煮立っている釜の水も、燃料の薪を抜いてしまえば沸騰を止めることができるように「相手の活動を支えている重要なものを断つことで、相手を弱体化させる」計略のことです。
「釜底抽薪」の話
中国の後漢末期、河北の雄の袁紹と新興勢力の曹操が戦ったのが「官渡の戦い」です。官渡の戦いでの動員兵力は、袁紹軍が約10万、曹操軍が約1万人と言われており、曹操軍は官渡の砦に立て籠もって戦ったものの「多勢に無勢」の状態で敗北寸前まで追い込まれていました。
そんな時、曹操は袁紹軍から降ってきた武将から「烏巣という場所に袁紹軍は兵糧を保管していて、今、烏巣の守備は手薄になっている」という情報を得ます。すかさず、曹操は自ら5000人の精鋭を率いると烏巣を攻撃し、烏巣の守備隊を撃破して保管されていた大量の兵糧を焼き払ってしまいました。
そして、兵糧が不足し大軍が仇になった袁紹軍は、戦いを続けることができなくなり、撤退を余儀なくされてしまったのです。
【関連記事:官渡の戦い|曹操軍の勝因】
官渡の戦いにおいて、曹操は、敵の大軍を支えている「兵糧」に袁紹軍の弱点があることを見抜いて絶ったことで、敗北寸前の劣勢から一転して10倍の兵を破ることに成功しました。
このように、相手の活動を支えている部分を断つことで事態が一変することがあります。相手の力を支えるものが何なのかを見極めることは現代のビジネスでも重要です。