みなし残業とは
みなし残業とは、企業が予め社員の毎月の残業時間を想定し、残業時間分を含めた賃金を支払う制度です。
みなし残業制度が多くの企業で採用され始めている背景には、働き方の大きな変化があります。
例えば、インターネットが普及し、会社に出勤しなくても仕事が出来る環境が整ってきたことで、従来のように出社時間と退社時間で労働状況を把握することが非常に難しくなっています。その為、みなし残業制度を導入し、無理な出社をせずに効率よく仕事を進める方が現代の仕事の進め方に合っている、と考える企業が増えてきています。
また、成果主義の考え方が導入され、長時間働けば賃金が増えるのではなく、成果を上げることで賃金を増えるという労働意識の変化も、みなし残業制度の導入が増えた大きな要因と言えます。みなし残業制度では、予め勤務時間を規定することで、より効果的な働き方をすることに繋がる効果があると言われています。
メリットが多そうに見えるみなし残業制度ですが、さまざまな問題もあります。
みなし残業制度は、予め決められた残業代が賃金に上乗せされており、労働時間が規定の残業時間に満たなくても上乗せ分が支払われる反面、仕事が忙しく規定以上の時間働いた場合でもその分は支払われないことになるので注意が必要です。
つまり、みなし残業制度は、残業代を支払わずに長時間社員を働かせることができる仕組みでもあるのです。
本来は労働基準法により規定された労働時間の上限があり、その上限を超えて勤務させる場合には特別な届け出や措置が必要になる他、社員の健康管理もしっかりと行わないといけないことになっていますが、「みなし残業」であることを理由に、規定以上の仕事を与え、規制を越えて長時間のサービス残業をさせたり、労務管理を怠るといった問題が発生しています。
長時間労働が常態化することは、社員本人がストレスを抱える要因となっている面もある為、みなし残業制度の運用には十分な注意が必要になります。
見なし残業制度を導入するにはさまざまな条件がありますが、その条件を満たしていないケースも多いため、経営者は、導入を検討する際に十分な注意が必要です。